知的財産ニュース 韓国特許庁、「AI発明者保護の国際コンファレンス」を開催

2021年12月9日
出所: 韓国特許庁

AIが発明した技術の保護に向けて、先進7カ国の特許庁が膝を突き合わせる

韓国特許庁は12月8日水曜日の午後8時、特許庁の国際会議室で「人工知能は発明者になれるか」をテーマに、知的財産を先導する7カ国の特許庁(※)が参加した「国際コンファレンス」をオンラインで開催した。
※韓国(主催)、米国、中国、欧州(EPO)、英国、豪州、カナダの特許庁

会議は韓国の特許庁長と欧州の特許庁長の歓迎の辞を初めに、各国特許庁の法制度担当者がディスカッションする方式で進められた(座長:韓国特許審査企画局のキム・ジス局長)。

今回のコンファレンスは国際的に話題となっている、発明者として人間ではないAI、つまり「AI発明者」を中心テーマに掲げて先進特許庁が議論する機会が設けられたという点で意義がある。

最近、ビックデータが蓄積し、ハードウェアの性能が高度化するに伴って人間と類似の学習を経たAIが多様な分野で人に取って代わっているが、実際に韓国ではAIが書いた長編小説が出版され、海外ではAIを基盤に新薬を開発する企業が設立されたこともある。

また、特許分野においても、AI(※)が自ら発明したと主張する技術が全世界16カ国に特許申請されたが(米テイラー博士、2018年~)、AI発明者認定に対して国別に異なる結果(※※)が出て話題になっていた。
※「DABUS」と称する:Device for the Autonomous Bootstrapping of Unified Sentience
※※大部分の国(韓国、米国など):人間のみ発明者であることを理由として拒絶、
豪州裁判所・南アフリカ共和国:AI発明者を認定(2021年7月)

今回のコンファレンスでは、AIを発明者として認められるか否か、また、これと関連して各国で議論されている事項などについてさまざまな情報を共有した。

特に、一部の国では急速に発展しているAI技術が未来社会や経済、科学技術イノベーションに与える影響を考慮し、特許制度を含めたAI総合戦略などを各省庁が垣根を越えて樹立しているとの意見もあった。また、欧州は、AIと関連する制度の改善は欧州の諸機構が賛成した人間中心のアプローチでなければならないと述べた。これとは別に、韓国特許庁は今年10月からAI発明者に関する主要国の議論の動向やAIが発明した技術の保護の必要性などについて法律・技術専門家の諮問とともに政策研究委託(※)を進めている。
※韓国世宗大学法学専門大学院のチェ・スンジェ教授(大韓弁護士協会法制研究院長)

韓国の特許庁長は「今回の会議がAI発明者に対するさまざまな議論をまとめていけるきっかけとなった」と評価し、「知的財産政策の観点でAI時代に備えるために国際的コンセンサスを形成し、制度調和の基盤を整えていくことを期待する」と述べた。一方、欧州の特許庁長は今回のコンファレンスの歓迎の辞を通じて「DABUS特許の出現によってAI発明者の認否に対する国際的合意が必ず必要であり、透明な情報共有を通じて安定した法律を作らなければならない」と話した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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