知的財産ニュース 相手の不正競争行為により被害を受けてもお手上げ

2021年9月8日
出所: 韓国特許庁

企業47.7%・消費者81.4%が不正競争行為に対応できてない

特許庁「不正競争行為実態調査」の結果を発表

韓国特許庁は、2021年不正競争行為実態調査(調査機関:2021年7月1日~8月12日、主管機関:KDNリサーチ)を実施した。今回の実態調査は、(1)企業対象の調査(全国における企業のうちの1,250社(※)と、(2)消費者対象の調査(満20歳以上の消費者1,000人(※※)に分けて実施し、不正競争行為に対する認識と被害などの状況を調べる方式で行われた。

※業種(製造・非製造業)および従事者規模などを考慮した標本構成
※※全国17の市・道別20・30・40・50代以上の一般人250人で構成

企業対象調査の主な結果をみると、不正競争行為により直接被害を受けたか、不正競争行為者を目撃したことのある企業は12.6%と調査され、被害企業が受けた不正競争行為の類型(複数回答)は、模倣商品の制作・販売行為が86.2%で最も多い割合を占めた。

企業が受けた不正競争行為の類型(複数応答)
行為の類型 国内外の被害
模倣商品の制作・販売 86.2%
相当な投資・努力で作られた成果の無断使用 32.3%
有名ブランドを無断使用して類似品を制作・販売 30.8%
経済的価値があるアイデアの盗用・模倣 26.2%

また、1,250社の被害と被害規模の調査結果を全国の事業者(2019年統計庁調査基準4,176,549社)に適用した場合、直近5年間の韓国企業の不正競争行為に係る被害は約39万件、全体の被害規模は約44兆ウォンと推算される。

このように不正競争行為による被害が膨大であるにもかかわらず、企業の被害対応において何も処置を取ることができない場合(47.7%)が多く、その理由は費用などの経済的負担が最も大きな割合(67.7%)を占めた。

一方、消費者対象の調査結果をみると、不正競争行為により直接的な被害を受けたと回答した割合が46%に達するなど、消費者の被害も頻発になっているものと示された。特に、消費者の不正競争行為の被害において、原産地や生産地の偽り·誤認表示及び性能·数量·用途の虚偽表示による被害が37.3%で最も多かった。

「消費者が受けた不正競争行為の類型」

(複数回答)

(1)原産地や生産地の偽り・誤認表示および性能・数量・用途の虚偽表示は37.3%、(2)模倣商品の製作・販売行為は14.9%、(3)有名ブランドを無断使用して類似品の製作・販売は13.4%、(4)経済的価値があるアイデアの盗用・模倣行為は11.6%、(5)相当な投資・努力で作られた成果の無断使用は5.8%

このように消費者の被害が多いが、不正競争行為の目撃者のうち、申告・告訴・告発などの処置を取ることができなかった場合は81.4%に達し、何も対応していない理由については、手続き・方法を知らなかった(35.5%)、実効性がない(29.4%)と回答した割合が64.9%であった。

「消費者が受けた不正競争行為の類型」

(複数回答)

手続き・方法を知らなかったは35.5%、処罰のレベルが低く、実効性がないは29.4%、慣行的で蔓延した行為は24.5%、法的問題はないと思っていたは6.1%、間違った行為とは思わなかった4.5%

特許庁産業財産保護協力局長は、「不正競争行為の被害が膨大であるにもかかわらず、企業や消費者がまともに対応できていない場合が多い」とし、「費用など経済的負担が大きい民事的救済手段の代わりに、行政調査または特許庁特別司法警察による調査・捜査などの公的救済処置を強化し、このような対応手続きを積極的に広報していきたい」と述べた。

さらに、「現行の不正競争防止法上の保護対象は、競争業者などに絞られているが、長期的には一般消費者も不正競争防止法の保護対象になれるように制度改善を推進していきたい」と明らかにした。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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