知的財産ニュース 新型コロナウイルスのパンデミック以降、電子商取引の強者になる条件とは

2021年9月2日
出所: 韓国特許庁

オン・オフラインの融合および最新の情報通信技術を適用したサービスの特許出願が増加

新型コロナウイルスの影響で生活および消費の方式が変化している。それに伴って電子商取引で取引される品目がさらに多様化しており、オン・オフラインの境界がなく、最新の情報通信技術が適用されたサービスが提供されると見込まれている。

韓国貿易協会、ソフトウェア政策研究所などは、今後の電子商取引市場を主導する技術としてオムニチャネル(※)(統合流通網)、ライブコマース(リアルタイムコミュニケーション販売)、拡張/仮想現実(VR/AR)、スマート物流、パーソナライズ・カスタマイズサービスを挙げ、2017年からそれに関する特許出願も持続的に増加していると明らかにした。

※オムニチャンネル:消費者がオン・オフライン、携帯電話など、さまざまな経路を行き来しながら、商品を検索して購入できるようにするサービス。代表的なものとして、デパートのオンラインモールで購入した商品をオフライン売り場で受け取る「スマートピック」というサービスがある。

関連する特許出願の動向を具体的に見ると、流通企業が保有している多くのオン・オフライン店舗を連携することにより、商品注文および受領が自由になり、ポイントも統合して使用できるようにするオムニチャネルの特許は、2017年に642件出願された。その後、継続的に出願が増加して2020年には前年比15.9%増の1,163件が出願された。

SNSのインフルエンサーを活用したリアルタイムのコミュニケーションを強みとしている、ライブコマースの場合、2017年から2019年までの出願は停滞(800件前後)していたが、2020年に前年比85.7%(1,543件出願)急騰した。

実際に訪問しなくても拡張/仮想現実で商品を着用・購入することができる拡張/仮想現実(VR/AR)のインターフェースは、スマートフォンの高性能化およびユーザーエクスペリエンス(UX、User Experience)を実装する機器の普及拡大に加えて、市場のニーズも反映され、2020年に前年比13.4%増の881件が出願された。

物流センターのハブ化とロボット・ドローンを活用して商品の配送時間を最小限に抑えることができるスマート物流特許の場合、全体的な出願件数は多くないが、前年に比べて2019年30.1%(367件)、2020年18.5%(435件)増加した。

ビッグデータ・AIを適用して、消費者が満足できる商品を推薦する、パーソナライズ・カスタマイズサービスの特許は、毎年着実に出願されており、2020年には前年比39.3%増の989件が出願された。

「新型コロナウイルスの拡散以降における電子商取引市場の現状」

新型コロナウイルスの影響によって社会的距離の確保や在宅勤務の体制が拡大され、消費者のライフスタイルも変化された。これにより、消費者は、非対面方式の消費を好むようになった。 米国の国勢調査局によると、2020年4月の米国の小売売上高は前月比16.4%減少し、集計を開始した1992年以来最大の減少幅を記録したが、2020年4月の一日平均のオンライン販売額は、前月比49%増加した。
韓国国内の状況を見ると、NAVERショッピングの取引額は、前年同期比64%増であり、Coupangは2019年7兆1,530億ウォンから2020年13兆2,478億ウォンに売上高が上昇(出所:OPENSURVEY、2020年8月発表)しており、韓国国内外いずれも新型コロナウイルスの拡散以降、オフラインに比べてオンラインショッピングが著しく成長したことが分かった。

特許庁の電子商取引審査課の審査官は、「新型コロナによるパンデミック以降の電子商取引サービスは、非対面方式で時間と空間に制約されないサービスを利用しようとする消費者のニーズにより、その規模はさらに大きくなると予想している。また、新たなサービスの絶対的な強者になるために企業の競争もより激しくなると見込んでいる」とし、「規模が拡大している電子商取引分野の強者になるためには、ユーザーが抵抗なく受け入れることができるサービスを開発して提供するとともに、技術の変化が速いこの分野の特性を考慮して、速やかに知的財産権を確保することが非常に重要である」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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