知的財産ニュース コロナ禍で笑う家具業界、デザイン出願も活発

2021年8月30日
出所: 韓国特許庁

主要家具のデザイン出願、前年に比べて40%以上大幅に増加

A氏は、新型コロナウイルスの拡散で在宅勤務をすることになり、まるで新しい家に引っ越した気分だ。机と本棚がなかったので新しいものを買い、それと同時に古いソファとベッドも変えた。また、ストレスを解消するために、マッサージチェアも注文した。新しい家具を配置したおかげで、家の雰囲気が変わり、休息とワークスペースを分離することができて非常に満足している。

コロナ禍により「おうち時間」が長期化し、在宅勤務の人口も急増している。家で過ごす時間が長くなったため、家を快適で効率の高い空間にしたいというニーズも高まっている。そのためインテリアや家具関連の業界の売り上げが増加(注1)するとともに、家具類のデザイン出願も急増していることが分かった。

韓国特許庁によると、主な家具類のデザイン出願は、2018年まで減少を続けていたが、2019年に938件が出願され、前年に比べて9.8%増加した。2020年は1,325件で、前年に比べて41.3%増加した。

用途別に見ると、ソファ、マッサージチェア、ベッドなどのように、リラックス用の家具の出願が目立っている。

2020年には、ソファの場合、一人掛けソファが30件、多人掛けソファが216件出願され、2019年に比べてそれぞれ25%、44%増加した。形態で見れば、ミニマリズムインテリアの流行の影響で、装飾がなく簡潔なデザインが主に出願された。

マッサージチェアのデザイン出願は、2016年から2018年までの3年間、平均2件に過ぎなかったが、2019年に22件が出願されて10倍近く増加し、2020年には51件が出願され、前年に比べて131.8%という著しい増加傾向を見せている。これは、外部活動が制限されることにより、家の中で経験できる質の高い休息と健康管理に対するニーズが反映された結果であると解釈される。

いわゆる、「熟睡マーケティング」に支えられたベッド市場の好況は、デザイン出願動向の変化からも確認することができる。ベッドは2018年までは出願が徐々に減少してきたが、2019年に126件が出願されて前年比29.9%増加し、2020年には195件が出願され、前年比1.5倍以上増加した。ベッドの関連用品であるマットレスの出願も2019年に比べて88.6%という急激な増加を示している。

オフィス家具における2020年のデザイン出願も、著しい増加傾向を見せている。特に、テーブルは2019年比43.7%増の240件が出願され、机は24.4%増の97件が出願された。オンライン授業と在宅勤務の日常化により、家の中をオフィス環境にするための家具の需要が高まり、デザイン出願にも影響を及ぼしていると分析される。 他にも棚、収納棚、収納ケースなどの収納家具類の出願は、2019年に比べてそれぞれ19.4%、31.3%、33.8%増加した。これは、家での仕事や趣味活動の割合が大きくなり、効率的に空間を活用するための整理と収納が重要になったからである把握される。

特許庁の審査官は、「家を単純な居住空間から統合生活空間に変えようとする意識の変化と市場のニーズは、新型コロナが収束しても続くと予想している」とし、「休息の質と業務効率を高める家具類のデザイン出願も増加傾向が続くと見込んでいる」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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