知的財産ニュース 電気自動車充電設備で浮上する「ワイヤレス充電道路」

2021年6月21日
出所: 韓国特許庁

走行中のワイヤレス充電技術における特許出願が活発

  • ワイヤレス充電技術を取り入れた、OLEV(On-Line Electric Vehicle、オンライン電気自動車)バスが7月から大田市儒城区の大徳特区一帯を走行する予定である。OLEVバスは2009年にKAISTが開発した、ワイヤレスで充電する電気自動車であり、道路の下に電気線を埋設することで、ワイヤレスでの自動充電ができる電気自動車である。(2021年3月25日、大田市議会のプレスリリース)
  • ノルウェーの首都オスロは、2024年第1四半期まで、全てのタクシーを電気自動車に変え、ワイヤレス充電道路を設置する予定である。Momentum Dynamics社とFortnum ReCharge社は、ワイヤレス充電道路を設置し、ジャガーランドローバー社は、電気自動車25台をオスロのタクシー会社Cabonlineに提供する予定である。(2020年6月25日、ジャガーランドローバー社のプレスリリース)

電気自動車を充電するために止まることなく、道路を走りながら充電するワイヤレス充電道路の特許が着実に出願されている。

ワイヤレス充電道路は、充電スタンドに行く不便を解消し、電気自動車バッテリーの容量を減らして電気自動車の普及を促進する技術である。

韓国特許庁によると、2010年からここ10年間電気自動車における走行中ワイヤレス充電の特許出願は、計299件であり、2010年10件から2018年42件に4倍以上増加したことが分かった。

ワイヤレス特許出願(計299件)を技術別に見ると、道路と電気自動車コイルの位置を一致させる送受電パッド技術が169件(56.6%)、課金システム(※)60件(20%)、磁場の放出ガイド(電磁シールド)技術が36件(12%)、コイルの間で金属などの異物を検出する技術が34件(11.4%)であった。

※走っている車の充電をモニタリングし、課金するための技術

出願の大部分は、ワイヤレス充電の性能を向上させる技術で、高くなった充電性能は施設設置費用を削減できるとともに商業化を促進することができるためであると見て取れる。

ワイヤレス充電の特許出願(計299件)を詳細出願人別に見ると、韓国人は全体件数の89.2%(267件)を占めており、外国人の出願は10.8%(32件)、現代自動車(46件)、LG電子(7件)、韓国科学技術院(12件)などの大企業や研究所が58%(178件)で出願をけん引しており、Adone(8件)、Green Power(6件)などの中小企業の割合は25%(77件)である。

外国人は、クアルコム(11件)、オークランドユニサービシズリミテッド(5件)、トヨタ(2件)などで、米国の出願人が大きい割合を占めている。

特許庁電気審査課の審査官は、「ワイヤレス充電道路は、電気自動車だけではなく、ドローン宅配便など、さまざまなモビリティの充電手段として拡大すると見込まれる」とし、「ワイヤレス充電道路は電気自動車市場のゲーム・チェンジャーであり、今後、特許の確保競争がさらに激しくなると予想している」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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