知的財産ニュース 環境汚染も防ぐマスクの特許出願が増加

2021年6月9日
出所: 韓国特許庁

環境汚染を防止するマスクの関連技術における特許出願が大幅に増加

新型コロナウイルスのパンデミックにより、マスクの消費量が急増しており、マスクによる環境汚染の防止が目的である特許出願の件数が2020年に著しく増加したことが分かった。

「廃棄マスクによる環境汚染問題が台頭」

廃棄マスクは、指定袋に入れて一般ゴミとともに埋め立てられるか、または焼却されるが、マスクの主な原料であるポリプロピレンは分解されるまで450年がかかると言われている。(※)
※海洋環境団体オーシャンズアジアの研究資料、「Masks on the beach:the impact of COVID-19 on Marine Plastic Pollution(2020年12月)」

韓国特許庁によると、環境汚染を防止するためのマスク関連技術に対する特許出願件数は、新型コロナウイルスのパンデミックが始まった2020年に112件で、過去の件数(1~13件/年)に比べて飛躍的に増加した。

これは、新型コロナウイルスのパンデミック以来、廃棄マスクの排出量(※)が急増し、環境汚染の深刻さを認識して技術的な解決策を探ろうとした取り組みの結果である。

※個人当り2.3日にマスク1個使用、毎日2,000万個以上のマスクを使用・廃棄している。
(国民権益委員会「環境にやさしい繰り返し使えるマスクを推奨」(2021年3月5日)

ここ10年間(2011~2020年)、環境汚染防止の観点から、特許出願されたマスクの関連技術は、計143件に達することが分かった。

マスクの原材料から構造・機能、製造、廃棄、リサイクルに関連する技術全般において、環境問題を解決しようとする発明が行われている。

技術別の出願割合を見ると、生分解性素材14件(10%)、繰り返し使えるマスク104件(73%)、廃棄マスクの回収・処理21件(15%)、廃棄マスクのリサイクル4件(3%)であると分析された。

最も高い割合を占めている「繰り返し使えるマスク」の技術は、すでに商用化されている分野であり、パンデミック以前から着実に出願されている分野である。

注目すべき点は、最近の環境にやさしい新素材、廃棄物の資源化に関する技術がマスク分野にも取り入れられ、環境汚染防止の効果がさらに改善されると期待されている点である。

また、2011~2020年における出願人別動向を見ると、個人(71.3%)、企業(27.3%)、大学研究所(1.4%)の順で、個人の出願割合が高い。

その理由は、個人が日常生活でマスクを使っているため、経験から得られたさまざまなアイデアが特許出願につながったとみられる。

特許庁の環境技術審査チームの審査官は、「生活発明の領域であるため、皆が積極的にアイデアを出す必要がある」と強調し、「廃棄マスクに関連する技術が廃棄物の低減、リサイクル、エネルギー化技術と直接関連しているという理由で優先審査(※)を申請する場合、速やかに審査結果を受け取ることができる」と述べた。

※優先審査制度:一定の要件を備えた出願に対し、出願人の申請がある場合に他の出願より優先的に審査する制度

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195