知的財産ニュース COVID-19ワクチンなど知財権猶予に関する官民懇談会を開催

2021年5月25日
出所: 産業通商資源部

SKバイオサイエンス、サムスンバイオロジクスなどの業界が参加した中、WTO動向の共有および影響を点検

ワクチンの生産拡大に向けた国際的な議論に備え、持続的な官民の意思疎通を約束

韓国産業通商資源部は、COVID-19に対応するためにワクチン・治療薬などに対する知財権の一時猶予案がWTOで議論されていることについて、関係部処とともに業界の意見を聞き、韓国国内への影響を点検するため、2021年5月25日(火曜)に「COVID-19に関するWTOの知財権一時猶予案に備える官民懇談会」を開催する。

「懇談会の概要」

  • 日時/場所:2021年5月25日(火曜)14時~15時30分/貿易協会51階大会議室
  • 参加:(主宰)産業通商資源部の新通商秩序戦略室長、(政府)保健福祉部、特許庁、食品医薬品安全処など(協会)韓国製薬バイオ協会、韓国バイオ医薬品協会、(業界)SKバイオサイエンス、サムスンバイオロジクス、セルトリオン、CELLID、Quratis、HK inno.N、韓米薬品、ST Pharm、緑十字、鍾根堂など
  • 内容:COVID-19に関するWTOの知財権協定猶予議論の動向を共有し、業界の意見を聴取

COVID-19の状況の中で、ワクチン・治療薬・診断機器など医療品目の全般における生産を拡大するためにWTOの知的所有権の貿易関連の側面に関する協定(TRIPS※)を一時猶予する方案をめぐって、先進国(反対)と途上国(支持)間の意見対立が続いている。

※Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights(1995年1月1日、発効)

一方、2021年5月5日(水曜)、米国が米国合衆国通商代表部(USTR)の代表であるキャサリン・タイ氏の声明を通じて、COVID-19ワクチンに対する知財権の一時猶予を支持すると立場を変えたため、今後、それについての議論が活発になると見込まれる。

ただし、TRIPSの猶予を積極的に主張してきたインド、南アフリカなどの発展途上国陣営はワクチンだけでなく、治療薬・診断機器などの医療品目全般を対象に、特許権・著作権・産業デザイン・営業秘密など、幅広い知財権の猶予を主張している状況である。

懇談会に出席した政府および業界関係者は、韓国国内でのワクチン・治療薬などの生産拡大、韓国製ワクチン・治療薬の開発に与える影響などについてTRIPS猶予の実効性、限界および予想される影響を多方面から議論した。

特に業界は、TRIPS猶予の具体的な内容が不確実な状況であるため、正確なWTOの動向を持続的に共有し、TRIPS猶予の議論とは別に韓国製ワクチン・治療薬の開発、ワクチン原材料の確保、ライセンス協力の強化などの支援を続けることを政府に要請した。

懇談会を主宰した産業通商資源部の新通商秩序戦略室長は、「今回、米韓首脳会談をきっかけに韓国の優秀な製造能力を活用して、グローバルのワクチンハブとして発展することができる基盤が用意された」とし、「今後WTOなど、全世界のワクチン生産拡大に向けて、両・多者間の議論に積極的に参加し、韓国の国益が最大化するように協議していく」と述べた。

これからも政府はWTOなどに関する国際動向について綿密に点検し、関連部処および利害関係者との意思疎通を継続しながら対応していく予定である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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