知的財産ニュース 「営業秘密流出のデジタルフォレンジック支援」に参加する企業を募集

2021年3月25日
出所: 韓国特許庁

営業秘密流出の被害を受けた企業に対するデジタルフォレンジック支援事業を新規推進

「判決文の分析結果、デジタルフォレンジックの分析結果を引用した事例」

  • (USB、スマートフォンメモリー)転職者が「図面・設備の履歴を記録したカード、作業標準書、生産日程」などの重要資料をUSBおよびスマートフォンメモリーのようなデジタル記憶媒体に移して、営業秘密を無断で搬出した事実を立証
  • (会社のサーバー)第三者が被害会社のサーバーに無断でアクセスして、サーバーに格納されている事業計画、売上情報などの経営上の情報を検索・閲覧した事実を立証
  • (業務用ノートパソコン)営業秘密を流出するプログラムをインストールした痕跡、約5ヵ月後にそのプログラムの構成ファイルが削除された事実を立証

韓国特許庁は、営業秘密流出の被害を受けた中小企業が営業秘密流出の証拠を確保しやすくするために、スマートフォン、PCなどの情報機器に対するデジタルフォレンジック事業を新たに推進すると発表した。

営業秘密訴訟の判決文を分析した結果(2020年特許庁調査)、75%以上の訴訟においてメールが重要な証拠として活用されるなど、デジタル証拠が実際の裁判で営業秘密侵害を立証する決定的な役割を果たしていることが分かった。

しかし中小企業は、営業秘密流出の被害を受けても専門人材と設備がないため、訴訟に必要な証拠を自ら収集することに苦労している。デジタル機器から流出の証拠を見つけるためには、最先端のフォレンジック機器とそれを運用できる専門家が必要である。

特許庁は、2021年から営業秘密流出の被害を受けた企業のモバイル機器、業務用PC、記憶媒体などを対象にデジタルフォレンジックが実施できるよう営業秘密保護センター(韓国知識財産保護院所属)に専門人材を採用し、最先端の設備を導入した。

また、営業秘密が流出された証拠を確保しても、常に営業秘密として管理していたという「秘密管理性」の要件を満たしていれば、法律的に保護(※)されることができるため、企業の営業秘密管理体系の診断も支援する計画である。

※不正競争防止法上、営業秘密の成立要件:「秘密管理性」、「非公知性」、「経済的有用性」

デジタルフォレンジックの分析結果により、追加で法律的な対応が必要な場合には、営業秘密流出紛争への法律諮問」も提供し、ソウル特別市、京畿道、仁川広域市の「知的財産の審判訴訟費用支援事業」との連携も推進する。

特許庁の産業財産保護協力局長は、「2021年から新たに推進するデジタルフォレンジック支援が営業秘密流出の証拠確保に苦労している韓国企業に役立つことを期待している」とし、「営業秘密として保護されるためには、通常の営業秘密管理が重要であるため、個別企業に対する営業秘密の管理体系に対する診断とカスタマイズ型のコンサルティングも積極的に支援する」と強調した。

詳細な内容は韓国知識財産保護院の営業秘密保護センター外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(1666-0521)で確認することができる。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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