知的財産ニュース 感染症治療の主要施設である陰圧病棟技術の開発が活性化

2021年3月16日
出所: 韓国特許庁

陰圧病棟に関連する特許出願、2020年比で16倍増

移動・組み立て式陰圧病棟における特許出願の割合が最も高い

  • 新型コロナウイルスの拡散による感染者の増加に伴い、感染者を隔離治療するための施設である陰圧病棟の特許出願が、2020年に著しく増加したことが分かった。陰圧病棟は、内部の気圧を外部より低く維持し、病棟内の空気や飛沫などに含まれているウイルスが回部に排出されないように遮断し、内部の空気をフィルタなどで浄化して安全に排出する施設であり、感染者を治療するためには欠かせない医療施設である。

韓国特許庁によると、ここ10年間における陰圧病棟関連の特許出願動向を分析した結果、2011年から2019年にかけて年平均2〜3件にとどまっていた特許出願は、新型コロナウイルスによるパンデミックが始まった2020年に計63件に急増した。これは、9年間(2011〜2019年)の出願を全部合わせた件数(23件)に比べて2.7倍増加した数値である。

陰圧病棟技術における特許出願現況を類家別に見ると、移動・組み立て式の陰圧病棟に関連する出願が54.7%(47件)と最も大きいシェアを占めている。その次に、病床の内部気圧を制御する空気調和関連の出願が22.1%(19件)、フィルタ、薬品、紫外線などを利用して、ウイルスや細菌を除去する空気浄化関連の出願が19.8%(17件)、病床の遠隔制御関連の出願が3.4%(3件)である。

特に、移動・組み立て式の陰圧病棟に関連する出願は、エアフレームを活用したエアテント、事前製作型モジュール式の病棟、組み立て式コンテナなど、移動や設置が容易で病床の拡張もできるようにしたものである。新型コロナ患者の急増による陰圧病棟の不足に対応するために、それに関する出願が活発であると分析される。

陰圧病棟技術における特許出願人を類型別に見てみると、中堅・中小企業が51.2%(44件)を出願して半分以上を占めている。次に、個人が32.6%(28件)、大学・研究所が12.8%(11件)の順である。韓国人が98.8%を占めており、外国人の出願は1.2%(1件)に過ぎず、韓国人の出願が圧倒的であることが分かった。

一般的に陰圧病棟は、建築・施工にもつながるため、韓国国内の中小企業による出願が活発であり、さらに新型コロナウイルスの克服に向けた産業界の技術革新に対する努力が加わったためであると解析される。

「韓国国内における陰圧病棟の現状」

陰圧病棟は国家が指定・運営する感染症患者の治療施設であり、現在29の医療機関に161の病床が構築されている。韓国の疾病管理庁が追加で83の病床を拡充しているが、特定地域に感染者が急増する場合、今の病床だけでは、患者の収容に限界が生じる可能性があることから、今後の移動・組み立て式の陰圧病棟に関連する特許出願は持続的に増加傾向を見せると見込んでいる。

特許庁の医療技術審査課の審査官は、「診断キット、ドライブスルーなど、新型コロナに素早く対応してきた韓国の革新的な医療技術に対する世界からの注目度が上がっている」とし、「今後、陰圧病棟のように感染症の拡散を防止する医療技術の成長に貢献できるよう、さまざまな知的財産情報を提供する計画である」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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