知的財産ニュース 未来型認証技術の特許出願が増加

2020年11月23日
出所: 韓国特許庁

公認認証書に代わる分散型ID技術の特許出願が相続く

新型コロナウイルスによる非対面業務の拡散と公認認証書の廃止を盛り込んだ電子署名法の全面改正案が2020年末に施行され、本人確認手段である公認認証書に代わる次世代認証技術に対する関心度が高くなった。これに伴い公認認証書に代わる未来型認証技術の特許出願も増加している。指紋や虹彩、顔、静脈などを利用した生体認識技術、ブロックチェーンを利用した顧客識別情報を分散保存する分散型ID(DID)技術が、ポスト公認認証書技術として関心を集めている。

韓国特許庁によると、公認認証書に代わる未来型認証技術の特許出願が活気を浴びているものと示された。2015年123件から2019年222件に、年平均16%増と調査された。

公認認証書に代わる未来型認証技術は、生体認識技術と最近注目を受けている分散型ID技術が特許出願を主導している。

[公認認証書]
公認認証書は2001年電子政府法の発効後、最近までインターネットバンキング利用時に必ず必要な認証方法の中の一つであった。しかし、公認認証書は別途の保存装置に保存しなければならず、アクティブXなどの追加プログラムの設置が必要であるなどの問題がこれまで指摘され、結局、「公認認証書のみ使用しなければならない」という規定がなくなったのである。

細部技術別の特許出願動向を調べて見ると(2015年~2019年)、人体認識技術は、2015年123件から2019年208件に年平均14%増を見せている。生体認識技術は指紋や虹彩、顔、静脈などの人体の生体情報の中の一部を利用しているため複製が難しくセキュリティが高い技術である。スマートフォン、金融決済等が大衆化し、着実に特許出願が続いている。

分散型ID技術は最近注目を受け、2019年14件から2020年9月まで36件に、特許出願が急増している。分散型ID技術は姓名、住所、住民登録番号などの個人情報を活用し、暗号化された個人識別情報がブロックチェーン技術を通じて偽変造されてないことを検証する技術である。有望な技術であるだけに、分散型ID技術の市場主導権競争も熾烈である。マイクロソフトとIBMのようなビッグテック企業も足早く分散型IDサービスの開発に飛び込んでいる状況である。

出願人別の特許出願動向を調べて見ると(2015年~2020年9月)、中小企業の出願が47%(456件)で半分以上を占め、特許出願を主導しているものと調査された。これに続き、大企業21%(203件)、外国法人11%(111件)、大学研究所10%(99件)、個人8%(80件)などの順で出願が続いている。

特許庁の電子通信技術審査局長は、「認証技術はポストコロナ時代において非対面サービスの必修要素である。今後、認証技術は既存の公開鍵基盤(PKI)、生体認識および分散型ID技術などが互いに連携されて活用するものと予想され、これに関連する強い知財権の確保が必要である」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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