知的財産ニュース 特許庁、2020年上半期特許技術賞で5件の優秀発明を選定

2020年8月27日
出所: 韓国特許庁

「SOS LAB」の「ライダー装置」、世宗大王賞に選定

韓国特許庁は、「上半期特許技術賞」の優秀発明における審査を7月8日と10日の両日にわたって実施し、最終的に5件を選定したと発表した。

※選定する主体である特許技術賞の選定審査会は、学界、研究機関、弁理士などの産業分野別における最高の専門家で構成され、発明の技術性、権利範囲、経済性を中心に審査を行った。

特許技術賞の最高の栄誉である世宗大王賞には、株式会社「SOS LAB」が発明した「ライダー装置」が選ばれた。

※ライダー(LiDAR):レーザーで物体の距離や形状を認識する自律走行車の目に該当する主要技術

「SOS LAB」は、固定式の3Dライダーを韓国で唯一開発しているスタートアップ企業であり、シリコンバレー国際発明フェスティバル(2018年)で金賞を受賞するなど、韓国のライダー企業の中で優秀な技術力を持っていると評価されるとともに、グローバルライダー企業とも肩を並べて競争している。

今回選ばれた特許は、ライダーの小型化、軽量化が可能で、長距離測定と高解像度の測定に有利な構造になっており、自律走行車に適切なライダーとして高い評価を受け、ロボット、ドローンなどに適用されるライダー装置に対する需要も増加しているため、今後の関連産業の成長に大きく貢献すると期待される。

忠武公賞には、SKハイニックスが発明した「素子分離膜を備えた半導体装置、それを備えた電子装置およびその製造方法」が選ばれた。

半導体の製造工程は、高難度の技術と多くのコストがかかるが、その特許技術で5つの工程を減らすことができ、半導体の産業競争力の主要な要素である原価と製造時間を削減する効果が得られる。

この特許は、競合他社よりも2世代進んだ技術で、DRAM20nm級の生産に初めて適用されて10nm級の製品など4世代の製品生産に使われている。

池錫永賞には韓国標準科学研究院が発明した「複合パターンによる超高速偏向測定法を用いた自由曲面の3次元形状測定システム」と株式会社「MEK-ICS」が発明した「人工呼吸器の自動制御方法」が選ばれた。

韓国標準科学研究院の特許はフレキシブルディスプレイ、次世代2次電池、超精密の光学部品などの複雑な曲面の部品を画像1枚で、すぐ欠陥検査を行う測定技術であり、3次元形状の測定に対する需要が急増し、今後、当該特許の活用価値が高まると予想される。

「MEK-ICS」の特許は、患者の心拍数、脈拍数といった生体信号を用いて、人工呼吸器を自動的に制御することができる技術であり、非対面での医療支援が可能になるため、ポストコロナ時代に有用な発明として評価される。

洪大容賞には、「Lunit」が発明した「画像分析方法およびシステム」が選ばれた。

この特許は、人工知能技術のグラフニューラルネットワーク(GNN)を利用して、がん患者の組織スライド画像から、抗がん剤の反応有無の予測などの医学的な予測結果を提供する。

特許庁の特許審査企画局長は、「ポストコロナ時代における韓国の未来競争力は、革新的な発明から始まる」とし、「特許技術賞が発明の主人公である発明者の士気を高め、発明文化を拡大することに貢献 できることを期待している」と述べた。

特許技術賞の受賞者には、賞金とトロフィーとともに発明奨励事業での選定優遇とマーケティング支援、特許技術賞受賞マークを付与する。

※上半期授賞式は、新型コロナウイルスの影響でキャンセルされ、12月の下半期授賞式で授賞する予定

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