知的財産ニュース 2019年、知財権の保証・融資・投資規模1兆3,504億ウォンを達成

2020年1月16日
出所: 韓国特許庁

韓国知的財産金融の1兆ウォン時代開幕

2019年に韓国知的財産(IP)金融(※)市場の規模が1兆ウォンを突破した。

※IP金融とは、企業が不動産などの固定資産ではなく、特許のような知的財産権を担保にして融資や投資を受けることにより事業資金を調達する金融システムをいう。

韓国特許庁によると、2019年の新規供給基準で知財権を担保に実行するIP担保融資額は4,331億ウォン、知財権により保証書を発給するIP保証額は7,240億ウォン、優秀知財権を保有する企業または知財権に直接投資を行うIP投資額は1,933億ウォンに達しており、全部合わせるとIP金融市場の規模は1兆3,504億ウォンに至っていることが分かった。

IP金融の規模は、ここ数年間徐々に増加しており、2018年の7,632億ウォンに次いで、2019年には前年比5,872億ウォン(77%)という顕著な増加ぶりを示している。

※IP金融規模の推移(億ウォン):(2015)4,115 → (2016)5,774 → (2017)6,871 → (2018)7,632 → (2019)13,504(前年比77%増)

これは、政府の金融イノベーションを基調とする取り組みと、企業経営において知的財産に対する企業および金融機関の認識向上による結果であると解釈される。

特に、IP担保融資の場合、前年比4.9倍増加し計4,331億ウォン(2018年884億ウォン)に達しており、銀行別ではハナ銀行が1,230億ウォン、新韓銀行が880億ウォン、国民銀行が692億ウォンの順で融資を実行し、IP投資では興国証券が動画に関する特許技術を基盤に113億ウォンの投資金を誘致した。

また、IP金融の量的成長だけではなく、優秀投資事例も多数出ているなど、質的向上も伴っていることが明らかになっている。

ID Ventures社などは、A機関が保有している通信標準特許(LTE、3G)に2017年末に投資し、訴訟およびライセンス交渉により1年8カ月ぶりに収益が発生して投資金額の3倍を回収し、ベンチャー企業の「Sherpa Space」は、植物用のカスタマイズ型光源技術の特許で投資を誘致し、製品(※)開発に邁進した結果、既存技術の限界を乗り越えたという成果が認められ、2020年に米国CES(Consumer Electronics Show)で革新賞を受賞した。

※植物の成長段階別に必要な光を最適な波長と光度で与える装置

特許庁は、1月16日(木曜)午後2時に韓国知識財産センター(ソウル市江南区)で、2019年に優秀な成果を収めたIP金融貢献者を選定して授賞し、IP金融の優秀事例を共有する計画である。

特許庁長は、「2020年は、本格的な知的財産金融市場の形成元年となる」とし、「特許庁は、韓国の中小・ベンチャー企業の技術イノベーションが金融の支援を受け、革新成長につながるよう、全力を尽くして支援していく」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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