知的財産ニュース デザイン登録出願の取り下げの場合、秘密デザイン請求料、出願公開申請料も払い戻される

2019年8月8日
出所: 国民権益委員会

デザイン登録出願関連の手数料返還基準を改善するよう、特許庁に勧告

デザイン登録出願を行った後、1ヵ月以内に取り下げる、あるいは放棄する場合、一部項目の手数料のみが払い戻される問題が改善される見通しである。

国民権益委員会(以下、国民権益委)は、出願料、優先権主張申請料だけでなく秘密デザイン請求料、出願公開申請料も払い戻されるようにする根拠を新設するよう、特許庁に勧告した。

(優先権主張申請料)先に出願した内容を基準に、6ヵ月以内にデザインを改良・発明して追加で出願すれば、出願内容を最初の出願日に遡及して認める制度

(秘密デザイン請求料)出願したデザインの登録後も、公開を望まない場合は3年の範囲以内で登録デザインを秘密状態に維持する制度

(出願公開申請料)登録される前の出願中のデザインは、原則的に公開されないが、模倣行為を未然に防止するために出願中のデザインを先に公開する制度

デザイン保護法によると、デザインは物品の形状・模様・色彩またはこれらを結合したものであり、視覚を通じて美感を生み出すものを意味する。「デザイン権」は、特許・実用新案・商標権とともに、産業上の利用価値を持つ発明などに関する権利である「産業財産権」の一種である。

デザイン登録のために出願する場合、出願料のほか、必要に応じては優先権主張、秘密デザイン請求、出願公開申請による手数料を納付しなければならない。

ところが、出願後1ヵ月以内に取り下げる、あるいは放棄する場合、出願料と優先権主張申請料はデザイン保護法に基づいて払い戻されるが、秘密デザイン請求料と出願公開申請料は、類似した性質の手数料ではあるものの、返還規定がないため払い戻されなかった。

このような差別的な手数料の返還規定により、出願公開を申請した後、直ぐに取り下げても手数料が払い戻されないという不合理の改善を求める苦情も発生している。

# 特許路サイトにて、デザイン特許申請を進める中で、手数料の追加を認知できないまま、「デザイン公開申請」の選択項目をチェックして申し込んだ。その後、「デザイン公開申請」は基本事項ではなく、選択しなければ追加料金が発生しないことを認知して、取り下げの申請書を提出した。登録決定前の取り下げ申請書の提出で取り下げの処理にはなったが、既に納付した出願公開手数料の返還は不可能と言われた。単純な手違いで納付した手数料を返還規定がないとして返還しない不合理を改善するよう要請する。(2019年3月、国民申聞鼓相談)

これを受けて国民権益委は、デザイン登録出願以降1ヵ月以内に出願を取り下げるか放棄する場合、手数料返還の対象に、秘密デザイン請求料と出願公開申請料を含めるように、デザイン保護法を2020年12月まで改正するよう特許庁に勧告した。

国民権益委権益改善政策局長は、「今回の制度改善を通じて、デザイン登録出願の取り下げや放棄による手数料の返還課程の不合理が解消されるものと期待される」とし、「これからも国民権益委は、政府イノベーションの一環として国民生活と密接な分野の制度の改善を、積極的に推進する計画である」と述べた。

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