知的財産ニュース 金属3Dプリンティング特許出願、2013年比約7倍増加

2019年7月29日
出所: 韓国特許庁

製造業におけるイノベーション成長の起爆剤、金属3Dプリンティング特許出願急増!

2016年、GEが航空機エンジンの燃料ノズルに金属3Dプリンティング技術を適用して量産に成功した後、製造業のイノベーションを先導する「金属3Dプリンティング」技術を先取するための競争が熾烈になっている。

金属3Dプリンティング技術は、3D設計データを2D断面データに分割した後、分割された2D断面データに基づいて多様な積層方式により、「金属素材」を一層ずつ積層して3次元の形状を制作する技術として、製造業のパラダイムを変える中核技術として注目されている。

特許庁によると、オバマ前米国大統領の一般教書演説を契機に、3Dプリンティング技術に対する関心が高まり始めた2013年の出願件数は11件に過ぎなかったが、2014年は42件、2015年は62件、2016年は79件、2017年は125件と急増した。2018年は71件と2017年に比べて成長ぶりが多少低調したものの、2013年比で約7倍増加したことが判明した。

出願人を類型別でみると、中小企業が159件で40.8%を占めており、外国企業25.9%(101件)、政府出損研究所17.9%(70件)、大学7.9%(31件)、個人およびその他7.4%(29件)の順であり、国内の中小企業と政府出損研究所の割合が相対的に高くなっているが、これは金属3Dプリンティング技術の先取のために、政府主導の研究開発費の投資を拡大したためと分析される。

技術別でみると、「装置技術」が88.2%(344件)、金属3Dプリンティング装置を利用して多品種少量のオーダーメイド型の金属部品などを制作する「応用技術」が11.8%(46件)と、「装置技術」の割合が大半を占めているが、これは金属3Dプリンティング関連の源泉特許の満了(注1)により、国内の中小企業を中心に独自の「装置技術」の確保に取り組んだ結果と分析される。

「装置技術」を積層方式に分類してみると、伝統的に最も知られるパウダーベッド溶融・焼結(PBF)方式および直接エネルギー溶着(DED)方式がそれぞれ51.7%(178件)および15.1%(52件)と66.8%の割合となったことが分かった。一方、金属部品の製作後に、別途の焼結工程を必要とする接着剤噴射(BJ)方式および材料圧出(ME)方式もそれぞれ19.2%(66件)および10.5%(36件)と、全体の出願件数の29.7%の少なくない割合を占めていることが判明したが、これは焼結工程の成熟と高価レーザーの未使用により、オフィス環境で安全かつ簡単に使用することができるオフィス型の低価の金属3Dプリンティング技術が脚光を浴びているためとみられる。

特許庁応用素材審査課長は、「金属3Dプリンティング技術は、製造業のイノベーションを先導する次世代の中核技術として注目されているだけに、伝統的な方式の金属3Dプリンティング技術はもちろん、オフィス型の低価の金属3Dプリンティング技術といった新しい分野の特許ポートフォリオも体系的に構築することで、知的財産権の先取による製造業のイノベーション成長の土台を作っていく必要がある」と述べた。

(注1)代表的な金属3Dプリンティング技術であるパウダーベッド溶融・焼結(PBF)方式の源泉特許は2014年8月満了

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195