知的財産ニュース (朴原住特許庁長寄稿)特許5強コリア!

2019年6月27日
出所: 電子新聞

国際都市を標榜する仁川市松島で、外国人や外国の国旗を見かけることは珍しいことではない。国連傘下の緑の気候基金(GCF)事務局を含む15の国際機関が所在しており、外国人直接投資も韓国の経済自由区域の中で最も活発に行われているためである。

6月11日(火曜)~13日(木曜)に、松島コンベンシア大路に掲げられた国旗の中には、普段見慣れない模様の旗がなびいていた。それは、世界特許の85%を処理する韓国・米国・中国・欧州・日本の特許庁のロゴと、これらの国々の特許庁の協議体である五庁長官会合(IP5)の仁川松島開催を記念する「IP5 2019 Korea」の旗である。清明な空を背景に、世界の四大国の特許庁のロゴと肩を並べてなびく韓国特許庁の旗をみていると、特許出願世界4位の韓国の位相を改めて感じることができた。

IP5は、2007年に発足した。2015年基準でS&P 500企業の市場価値の87%が特許、商標、デザインなどの知識基盤の無形資産という調査結果をよく吟味すると、韓国がIP5の一員となったことは誇らしい成果である。韓国のIP5加盟は、熾烈な産業化の課程を成功的に推進してきたことに対する国際社会の評価であり、既に現実味を帯びている知識基盤経済時代を生きるための価値あるプラットフォームになるためである。

韓国が議長を務める2019年のIP5会合では、多くの収穫があった。人工知能(AI)などの新技術がもたらす変化に対応して、グローバル特許システムの改善に向けた「仁川IP5共同宣言文」を採択したのは、これからの国際IPの地形をIP5が先導するという意味で重要な進展である。新技術の対応に向けた専担タスクフォース(TF)の発足など、具体的措置に対する事項も合意されたことで、新技術の対応に向けたIP5協力のロードマップを本格的に描くことができる。

3Dプリンティング、モノのインターネット(IoT)、自律走行車など、新技術の特許分類の方策を世界知的所有権機関(WIPO)において国際標準として採択するという合意もなされた。第四次産業革命関連の技術分野においては、IP5協力が具体的に実を結んであり、このような成果を国際標準として拡散することで、特許制度発展へのIP5の貢献を世界に示すことができるよい事例である。

さらに、有意義な議論も行われた。経済成長と雇用創出における知的財産の重要性についてきちんと認識されていないという筆者の意見に、長官たちも大いに共感を示した。欧州特許庁長官は、欧州の知的財産集約産業が、全体の国内総生産(GDP)の42%を、雇用の39%を占めているにもかかわらず、その重要性に対する認識はそれほどではないと吐露した。IP5レベルで、「知的財産の重要性」に関する共同研究を行うとともに、研究結果の共同発表について議論を約束するなど、その成果が期待される。

「慶源」が、仁川の昔の名称の一つであることを、IP5会合で同じ名称の宴会場を使用して初めて知った。「慶事の源泉」という意味である。名前のお蔭か、その宴会場で開かれた歓迎晩餐会も、その後の三日間の会合も成功裏に終わった。世界の富のほとんどが無形の知的財産から創出されており、その動きはこれからさらに強まることであろうから、知的財産こそが未来の慶源ではないか。知的財産の重要性は、IP5の4庁より資源の乏しい韓国で、より強調される雰囲気が造成されることを期待する。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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