知的財産ニュース 世界初の5G商用サービス開始、LTEが支えた

2019年4月8日
出所: 韓国特許庁

5G-LTEの連動技術関連の特許出願、活発に

4月3日午後11時、韓国は間一髪で米国の通信大手ベライゾン・コミュニケーションズに先駆けて世界初となる第5世代(5G)移動通信システムの商用サービスを開始した。通信市場のエコシステムはもう一度変革期を迎えることになった。まだ韓国全域においては5G網が構築されていないものの、該当の地域ではLTE網を利用して5Gサービスが提供される。これを実現した5G-LTEの連動技術に対する特許出願がここ数年で急増し注目を集めている。

特許庁によると、5G-LTEの連動技術関連の特許出願は、5G技術に対する国際標準化作業が始まった時点の2016年に24件が出願された以降、2017年は165件と急増したことが判明した。

これは5Gの全国網構築に相当な期間がかかると予想され、5Gサービスが提供されない地域においてもLTEを利用して5Gサービスを利用できるようにする連動技術が、5G標準の議論初期に急浮上し反映された結果である。

これに伴い、国内外の通信サービス事業者がLTEと連動可能な5G設備を好むようになり、設備メーカーも最大1兆1,588億ドル(2026年基準)(※)と見込まれる5Gグローバル市場を先取りするために自然と5G-LTEの連動技術に関心を持つようになった。

※出処:ETRI(韓国電子通信研究院)

2018年は出願件数が多少減少しているが、これは海外において出願された件のうち、多数がまだ国内段階に進入していないか、または出願後の未公開の件があるためである。

2018年までの出願人別動向をみると、大企業が75.4%と大半を占めており、外国企業と研究所の割合はそれぞれ12.3%と9.4%であり、中小企業の割合はわずか2.9%となっている。

5G技術の特性上、中小企業や個人は容易に出願することが難しいが、韓国の大企業の場合、国際標準化会議で議論された5G-LTEの連動技術を積極的に権利化したものと把握される。

細部技術別の出願動向をみると、5G基地局とLTE基地局に同時にアクセスできる同時通信(dual connectivity)が178件出願され、5GとLTEが同じ周波数を共有するための共存技術(coexistence)は98件出願された。

同時通信および共存技術は、既存のLTE設備および周波数をそのまま利用するため、5Gへの初期負担が減るとともに端末の伝送速度も向上するため、5Gの拡散を促進する役割を果たすと期待される。

特許庁通信ネットワーク審査チーム長は、「5G-LTEの連動技術は、移動通信事業者の投資負担を軽減するとともに、5G加入者の利便性の向上も期待できるため重要」とし、「今後数年は5GとLTEの共存は避けられないとみられ、この分野に対する研究開発と特許出願はさらに活発になる見通しである」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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