知的財産ニュース 研究開発支援の拡大・特許技術の活用が微細粉塵の解決の鍵

2019年8月7日
出所: 韓国特許庁

持続的な研究開発投資と特許出願増加とともに、微細粉塵が減少傾向に

微細粉塵関連の特許動向を分析した結果、国内の微細粉塵問題を解決するためには、工場など事業場に適用される排出低減技術の研究開発支援がより拡大される必要があり、それとともに、環境先進国の主要特許技術をベンチマーキングすることも重要な方策であると評価された。

特許庁は、8月9日(金曜)、微細粉塵関連の特許動向分析および主要技術の分析結果を発表する。

今回の調査は、最近、深刻な微細粉塵問題を技術的に解決する方策を模索するために推進されたもので、過去20年間(1999年~2018年)で、韓国、米国、欧州、中国、日本で公開された微細粉塵関連の9万件余りの特許を分析して特許動向および先進国の対応戦略を調査した。

調査の結果、微細粉塵の全体の出願件数は、中国が42,266件(46%)で1位を占めており、日本(18,496件、20%)、韓国(13,697件、15%)、米国(11,522件、12%)、欧州(6,098件、7%)の順であった。

韓国と中国では、最近、微細粉塵に対する憂慮が高まる中、2013年以降出願件数が急増した反面、既に米国、欧州、日本では深刻な大気汚染問題の経験から、1960年代以前から持続的に技術開発が行われており、最近は微細粉塵問題が大部分解決されており、特許出願も減少または停滞する現象をみせている。

出願技術分野は、工場、車両などから出る微細粉塵の排出を低減する技術が45%と最も多く、空気洗浄機など国民生活の保護技術が31%、測定・分析技術が24%を占めた。

先進国の場合、海外市場の拡大という目的から、排出低減技術(47%~58%)と測定・分析技術(27~37%)分野の出願の割合が高い反面、韓国では微細粉塵問題の深刻性および空気洗浄機の人気に支えられ、国民生活保護技術の出願の割合(41%)が高くなっている。

今回の調査結果で注目すべき点は、韓国と中国の微細粉塵関連の特許出願が増加するにつれて、両国の微細粉塵濃度が持続的に減少しているということである。

微細粉塵問題の深刻性を受けて、韓・中両国は大気汚染物質の排出基準の強化とともに、微細粉塵対応技術の研究開発に投資を拡大しており、その結果、特許出願は大きく増加していることと調査された。

このような特許出願件数の増加および排出基準の強化の努力により、微細粉塵の濃度は徐々に減少されている傾向となっている。

一方、今回の分析結果、韓国では車両などの運送手段用の微細粉塵排出低減技術が多数(3,292件、57%)を占めるのに対して、事業場用の微細粉塵低減技術の出願の割合(2,507件、43%)は低いことが判明した。国内の微細粉塵は産業施設、発電所などの事業場で多く発生(72%)している点を勘案すれば、これからの政府の研究開発支援は事業場用の微細粉塵低減技術開発により集中しなければならないものとみられる。

また、特許庁は今回の調査を通して、過去30年間の主要国の特許出願の中から、微細粉塵の解決に必須的な核心的特許技術を掘り起し、国内で活用の可能性が高い275件を選別して8月9日(金曜)の発表会で公開する予定である。

主要特許275件の中には、国内に特許出願されていなかったり、特許期間が満了して活用可能なものが226件(82%)に達した。

また、主要特許の中には、微細粉塵・硫黄酸化物の同時除去用の電気集塵機、洗浄水の上向き噴霧方式の硫黄酸化物除去装置などといった実際、海外の現場に適用された事例も含まれており、微細粉塵の解決には新技術の開発だけでなく、先進国の既存の技術のベンチマーキングも重要であると評価される。

今回の発表会を通して、微細粉塵低減技術の開発に関心のある企業、研究所および公共機関は、主要先進国の微細粉塵対応技術の特許情報を得ることができるとともに、企業は先進国の技術開発の結果物をベンチマーキングして、研究開発戦略の策定費用と期間を大幅に短縮することができると期待される。

特許庁特許審査2局長は、「微細粉塵の解決に向けた技術は、早くから特許出願されており、国内でも新技術開発に積極的ではあるが、大型の排出事業場では新技術の導入に消極的な傾向がある」とし、「政府から、新技術をテストする試験場を既存の事業場または新規の排出事業場に新設できるように支援が行われば、企業の技術開発の促進と事業化にもつながるだろう」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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