知的財産ニュース 技術保証基金、IPファースト保証に「AIモデル算出」システムを適用

2019年5月28日
出所: 電子新聞

技術保証基金(以下、技保)は、ビッグデータを活用して今後3年間で、企業の売上額を推定するシステムを構築する。2019年下半期を目処に、既存の知的財産(IP)保証システムに適用して、高度化する方針である。

27日、技保は、IPファースト保証課程において、3ヵ年度の予想売上額推定を、人工知能(AI)モデルで算出するシステムを開発し、IP保証システムを高度化する。現在、キャッシュフローの展望について、最初の3ヵ年の売上額は、評価者の人間が直接推定し、入力している。

これを受けて、技保は、システム開発事業の公告を行っている。今回の事業は、事業費規模は大きくないが、技保が保有する特許130万件と企業融資に関連するデータの価値を活用して、多様な実験を行うことができるため、大学や研究所などから関心が大きい。

現在、技保が保有する特許評価システム(KPAS)は、ビッグデータ分析とディープラーニング技法を適用することで、特許技術の財産的価値を評価して、自動で等級化し価値金額を評価する。

新しくできた、IPファースト保証も、本システムを適用している。この保証は、特許権の事業化に必要な運転資金を支援する制度である。

当初は、技保職員が技術価値評価を行う際にかかる時間を短縮するために開発したが、AIアルゴリズムを用いて過去の技術価値評価のデータを学習し、学習されたモデルを基に、技術価値を自動推定するシステムに発展した。

AIを活用することで、低費用で迅速に価値評価の手続きができるため、現場の窓口と顧客から評判が高い。第1四半期の新規のIP保証の業績が前年同期比87.5%も上昇した。

政府が技術金融拡大政策の一環として、既存の特許評価システムをIPファースト保証に導入することで、技保の技術金融業務の対応が迅速になった。

IP金融は、世界的にIP活用と保護に対する関心が高まっており、韓国金融業界の海外進出の可能性の高い分野である。既に、技保の技術評価システム(KTRS)は、政府開発援助(ODA)事業の一環として、途上国に供給を行っている。

最近では、先進国を中心に、より高度化したIP金融における協力の要請も増えている。技保は、欧州などと技術評価システムの輸出に向けて研究協力を結んで進めており、中小企業の比重の高い台湾などからでも、このような技術移転の可能性について打診を受けている。

技保関係者は、「海外においても、IP金融は、グローバルブランドを持つ大企業を中心に市場が形成されており、相対的に長年、中小・ベンチャー企業を中心にIP金融を行ってきた経験とノウハウが高く評価されている」とし、「経済構造の変化により、IPに対する関心が高まるにつれ、中小企業やスタートアップ金融に、本システムの活用を希望する海外機関からの協力の提案も多い」と述べた。

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