知的財産ニュース 特許庁の2020年予算、6,270億ウォンに確定

2019年12月19日
出所: 韓国特許庁

前年度予算5,892億ウォン対比6.4%(378億ウォン)増額

特許庁は2020年予算が12月10日に国会の本会議で議決されたことにより、2019年の予算に比べて6.4%(378億ウォン)増加の6,270億ウォンに確定したと発表した。

※特許庁の予算(ネット基準):(2019年)5,892億ウォン→(2020年)6,270億ウォン(6.4%増)

2020年予算は「知的財産でイノベーション成長と職場づくりをけん引」するという基調の下、(1)高品質の審査・審判サービスの向上、(2)知的財産の創出・先取りによるイノベーション成長の支援、(3)知的財産の侵害対応およびIP市場の活性化、(4)高品質の審査のための知能型特許ネットの構築支援に焦点が当てられた。

1.強い特許創出に向けて審査環境の改善予算を増額

(2019年)785億ウォン→(2020年)833億ウォン(48億ウォン、+6.1%増)

特許・論文などの技術文献の急増により先行技術調査の投入時間を拡大し、高品質の審査を支援するために先行技術調査の予算を増額した。

※韓国国内特許の先行技術調査:(2019年)344億ウォン→(2020年)362億ウォン(18憶ウォン増)
※ここ30年間(1988~2017年)に出願された世界全体の特許(5,000万件)のうち、49%(2,470万件)がここ10年内に出願されるなど、累積特許出願件数が急増

また、個人の創業に伴う商標出願も急増し、商標調査分析の予算も拡大し、単価も6年ぶりに引き上げた。

※商標審査支援:(2019年)68億ウォン→(2020年)87億ウォン(19億ウォン増)
※商標調査分析の単価引き上げ:(2014年)47,896ウォン→(2020年)51,057ウォン(3,161ウォン増)

2.海外知的財産の確保および素材・部品・設備の早期技術確保に向けた予算も大幅に確保

(2019年)986億ウォン→(2020年)1,105億ウォン(119億ウォン、+12.0%増)

成長可能性の高い有望中小企業がグローバル市場を先取りできるように海外特許の確保を支援し、強い特許を創出(570社→700社)する計画である。

※グローバルIPスター企業の育成:(2019年)96億ウォン→(2020年)118億ウォン(22億ウォン増)

素材・部品・設備分野の早期技術確保に向けて特許戦略専門家(PM)と特許分析機関などにより専門担当チームを構成し、中小・中堅企業R&Dの現場にオーダーメイド型特許戦略(IP-R&D)支援を拡大(210社→326社)した。

同事業はR&D初期から世界主要国の特許を深く分析し空白領域などの優秀特許を確保することができるよう最適のR&D方向を提示する事業である。

※特許基盤の研究開発戦略支援(IP-R&D):(2019年)147億ウォン→(2020年)228億ウォン(81億ウォン増)

また、中小企業が製品・サービス融合により第四次産業革命競争力を高められるよう製品およびサービス対象のIP総合戦略支援も拡大(43社→53社)する計画である。

※グローバル技術革新IP戦略開発:(2019年)46億ウォン→(2020年)61億ウォン(15億ウォン増)

地方・首都圏間の知的財産不均衡を解消し、地域の有望中小企業がさらに成長できるように創業企業のIP経営体系を高度化する「IPナレ事業」も地域の需要を反映して増額(453社→643社)した。

※IPナレ支援:(2019年)60億ウォン→(2020年)85億ウォン(25億ウォン増)

3.韓国企業の海外進出が増加するに伴い海外における知的財産紛争対応力を強化し、質の高い職場づくりができるようIP市場の活性化予算も確保した。

(2019年)685億ウォン→(2020年)822億ウォン(137億ウォン、+19.9%増)

韓国企業の海外知的財産を保護するためにIP-DESKを新規で開所(フィリピン)し、「K-ブランドの先取りモニタリング」国も既存の中国・ベトナムからタイに拡大する計画である。

※IP-DESKの運営:(2019年)42億ウォン/15カ所→(2020年)44億ウォン/16カ所(2億ウォン増)
※K-ブランド保護基盤の構築:(2019年)6.5億ウォン→(2020年)7.2億ウォン(0.7億ウォン増)

大学・公共研が有望特許技術の常用化の検証などに投資して収益を回収し、別の有望特許技術に再投資するようシードマネー支援も拡大(6個→9個)する計画である。

※特許ギャップファンドの運営:(2019年)20億ウォン→(2020年)30億ウォン(10億ウォン増)

IP価値評価によるIP担保・保証貸出の取扱銀行を地方まで拡散するため「金融連携IP評価費用の支援」を増額した。

同事業は中小企業が知的財産(IP)を基盤に事業化資金を調達できるようIP価値評価費用を支援し、金融機関の融資・投資へと連携する事業である。

※金融連携IP評価の支援:(2019円)46億ウォン→(2020年)56億ウォン(10億ウォン増)
※IP金融支援の銀行:(2019年)7の中央銀行(産業、企業、国民、新韓、ウリ、ハナ、農協)→(2020年)6の地方銀行へと拡大予定

優秀な特許を保有したイノベーション企業に対する投資を拡大するためにファンド・オブ・ファンズ特許アカウント」出資も拡大した。

※ファンド・オブ・ファンズ組合への出資:(2019年)100億ウォン→(2020年)200億ウォン(100億ウォン増)

担保の産業財産権の買入・活用事業も新規で推進する。

同事業は回収専門機関(政府・銀行圏が共同で出捐)が不実の担保IPを買入・取引して銀行のIP回収リスクを減らし、IP担当貸出が普遍的な資金調達の手段として定着されるための事業である。

※担保の産業財産権の買入・活用:(2019年)- →(2020年)37億ウォン(新規事業)

4.人工知能(AI)基盤の特許ネットシステムを構築し、特許ビッグデータを拡充して民間に開放するための予算も反映した。

(2019年)391億ウォン → (2020年)462億ウォン(71億ウォン、+18.2%増)

特許庁は特許行政に人工知能などの知能情報の技術を導入・拡大して迅速・正確な審査サービスを国民に提供する計画である。

※特許情報システムの構築・運営:(2019年)379億ウォン→(2020年)436億ウォン(57億ウォン増)

また、特許情報(DB)を活用して新たにサービス商品を発売するスタートアップ・ベンチャー企業に事業開発の戦略確立(ビジネスモデル)を支援する「特許情報サービス企業の育成」事業(10社)も新たに追加した。

※特許情報サービス企業の育成:(2019年)-→(2020年)11億ウォン(新規)

特許庁は優秀特許を創出・活用するイノベーション的な中小・ベンチャー企業に対し、実質的な助けとなるよう来年の予算が大幅に増額されたため、それだけに2020年の予算が迅速に実行されるよう事前準備を徹底して行うと明らかにした。

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