知的財産ニュース 韓国企業の商標、海外での無断先取りの疑い事例が多く発見

2019年10月28日
出所: 韓国特許庁

279商標、海外62ヵ国で計1,140件が先取りの疑い

特許庁は、韓国企業の商標が海外の各国で無断先取りされていると疑われる事例について実態調査を行った結果、計62ヵ国において1,140件の疑い事例が発見されたと発表した。

今回の調査には、グローバル商標DB(WIPO-GBD、TMview)が活用されており、中国、ベトナムなどで既に把握していた無断先取りの疑いがある英文商標(※)906個について、これらの商標がグローバル商標DB内の56ヵ国(※※)でも先取りされていたかを把握する方法で行われた。

※他の国で図形として認識され、キーワード検索ができないハングル、中文商標は除く。
※※WIPO-GBD内の55ヵ国(2019年7月基準)、TMveiw内の1国(WIPO-GBD不提供の国家)

WIPO-GBD、TMviewの概要

  1. WIPO-GBD:世界知的所有権機関(WIPO)で運営するグローバル商標検索サービスで、計58ヵ国・機構(アジアの国が多数)のデータ約4,000万件を提供
  2. TMview:欧州連合知的財産庁(EUIPO)で運営するグローバル商標検索サービスで、計68ヵ国・機構(欧州諸国が中心)のデータ約5,300万件を提供
※グローバル商標DBの場合、各国から提供される商標情報を基盤にしており、各国の事情により欠けている情報があり得る(中国、ベトナムなど)。

調査の結果、先取りの疑いがある事例として発見された商標は計279個であり、62ヵ国(※)で1,140件が発見された。国別ではインドネシアが204件(17.9%)、タイが116件(10.2%)、シンガポールが83件(7.3%)などと、アセアン国家(8ヵ国で594件、52.1%)が最も多く、欧州諸国(22ヵ国で189件、16.6%)でも先取りが疑われる事例が多数発見された。

※WIPO-GBDから提供されるマドリード国際出願の件に含まれている国家により、最初の調査対象(56ヵ国)より多くの国で疑い事例が発見された。

また、業種別では、電子・電気が(361件、31.7%)、化粧品が(121件、10.6%)、食品が(103件、9.0%)、フランチャイズが(100件、8.8%)、衣類が(82件、7.2%)の順であり、個別商標では韓国の有名化粧品およびお菓子メーカーの商標で疑い事例が多かった。

特許庁は、今回に把握された先取り疑い事例については、被害企業へ被害情報を提供すると共に、11月中に韓国企業を対象とする説明会を開催し、被害対応教育と企業からの意見聴取も行う計画である。

それと同時に、中国、ベトナムそしてグローバル商標DB(WIPO-GBD、TMview)での商標の検索方法と、先取り被害への対応方法を盛り込んだマニュアルを発刊し、韓国企業に配布する予定である。

特許庁産業財産保護協力局長は、「無断先取りの疑い事例が大多数の国から発見されたが、競争業種ではない商品類のみならず、競争業種で登録された事例も多くみられる」としつつ、「韓国企業は自社の商標に対する体系的な管理を自ら行う必要がある」と強調する一方、「現在、商標先取りのモニタリングを定期的に行っている中国、ベトナム以外にも、アセアン主要国へモニタリングを拡大していく予定である」と述べた。

海外での商標先取り被害の相談および対応方法教育などに関する詳細な問い合わせは、韓国知識財産保護院海外協力チーム(電話02-2183-5896)まで。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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