知的財産ニュース 素材・部品・設備の輸出規制に対応する「研究開発中心の根本的解決」を推進

2019年8月28日
出所: 韓国特許庁

重要源泉技術の自立能力を強化するための「素材・部品・設備の研究開発への投資戦略およびイノベーション対策」を発表

科学技術情報通信部(以下、科技情通部)をはじめ、関係部処は8月28日に国務総理の主宰で「日本輸出規制対応の拡大に関する関係長官会議 第7回科学技術関係長官会議」を開催し、重要技術の自立能力を確保するための「素材・部品・設備の研究開発への投資戦略およびイノベーション対策」(以下、イノベーション対策)を確定したと発表した。8月28日は、日本が韓国をホワイト国家(ホワイトリスト)から除外する閣議決定の施行日である。

今回のイノベーション対策は、8月5日に政府が発表した「素材・部品・設備の競争力強化対策」と連携し、研究開発(R&D)を通じて、主要品目の対外依存度の根本的問題を解決し、重要源泉技術の先取りを図るために策定された。

今回のイノベーション対策は、研究開発を中心に、主要品目の技術的自立のための政府施策を含んでおり、主な内容は下記のとおりである。

1.主要品目別の精巧な対応戦略の樹立

日本の輸出制限の懸念がある主要品目を深く分析し、関係部処と専門家の検討を通じて、主要品目別の精巧な研究開発の対応戦略を設けて実施する。日本が輸出制限措置を取った、7月初めから100+αの主要品目に対する診断を、関係部処が共同で進めており、今年中に全体の主要品目の診断をまとめる計画である。主要品目別の対応戦略は、国内の技術水準と輸入の多角化の可能性を基準に、類型別特性を考慮して樹立している。

(1)技術水準↑、輸入多角化↑
国内の技術水準が高く、輸入多角化の可能性も高い主要品目は、グローバル化を目指す技術開発に集中する。

(2)技術水準↓、輸入多角化↑
国内の技術水準は低いが、輸入多角化の可能性が高い主要品目の場合は、短期的には代替品の早期の工程投入を支援して、中長期的には源泉技術の確保に注力する。

(3)技術水準↓、輸入多角化↓
国内の技術水準と輸入多角化の可能性がいずれも低い主要品目の場合は、従来のサプライチェーンを乗り越えられる重要源泉技術を確保し、韓国主導の新しい者を作り出し、産業構造のパラダイムの転換を図る。

(4)技術水準↑、輸入多角化↓
国内の技術水準は高いが、輸入多角化の可能性が低い主要品目については、供給企業と需要企業が協業する商用化の研究開発を重点的に支援する。

2.特別委員会の設置

大統領の直属機構である国家科学技術諮問会議の所属として、主要品目の管理を総括的に担当する官民共同の「素材・部品・設備技術の特別委員会」(以下、特別委員会)を設置する。特別委員会は、主要品目のリスト化、素材・部品・設備の研究開発政策の樹立を支援し、予備妥当性調査で優遇措置を受けられる主要品目の事業に対する、事前検討・審議を行う。

3.投資拡大

主要品目に対する研究開発投資を大幅に拡大して、2020年から2022年までの3年間、合計5兆ウォン以上を早期に集中投入する。主要品目に関する事業の予算は、支出の構造調整の対象から外し、サンセット方式もサンセット措置も免除する。

4.速やかな制度的支援

国家研究開発制度を迅速に改善し、素材・部品・設備の競争力の向上を支援する。早急な対応が必要とされる主要品目に関する、素材・部品・設備事業の予備妥当性調査は、「素材・部品・設備の技術特別委員会」の事前検討・審議を経て、例外的に経済性評価を費用効果(E/C)分析に代替し、また、-事業の進めの可否を最終決定する総合評価には、多数の現場の専門家が参加するように制度を改善する。 迅速な研究開発の推進のために、政策指定(Fast track)課題(※)の推進根拠を制度化し、需要企業(大企業、中堅企業)の参入を促すため、研究費のマッチング比重を中小企業並みに下げて適用する計画である。主要品目の事業に対する成果評価は、従来とは異なり技術事業化の実績、需要企業の購買量など、実用性の指標を中心に評価し、産業現場とのギャップを縮めていく。

※中央行政機関の長が、特定の政策目標を達成するために、主観の研究機関を指定し研究開発を進める課題

5.研究力量を総結集、3N+R

国家主導で、産学官の研究開発能力を総動員し、体制を構築する。

(N-LAB)主要品目の技術開発を安定的に進め、必要時の緊急研究を遂行できる国家研究室(N-LAB)を指定して運営する。
(N-Facility)主要素材・部品の商用化開発の為に、主要テストベッドの研究施設をN-Facilityに指定して、KAIST敷設のナノ総合技術院には、国家施設としては初めて12インチウェハーの工程施設を構築する。
(N-TEAM)開発の隘路解消と国外の動向をリアルタイムで把握するため、主要品目別国家研究協議体(N-TEAM)を運営する。

中央政府レベルの3N(N-LAB、N-Facility、N-TEAM)に研究開発特区、産業融合地区、国家イノベーションクラスターなど、地域のインフラと重要能力を集める。

6.研究情報統合の活用

国家研究開発の投資分析システムであるR&D PIE(※)と、特許分析結果を活用した主要品目分析情報を、研究現場に適期に提供することで研究開発企画の高度化を支援し、主要品目に対する研究開発の空白領域を、事前に確認して対処できる体系的投資システムを構築する。あわせて、現在に構築している全部処「研究支援システム」の構築時期を、2021年下半期から上半期に繰り上げて、主要品目に対する研究開発情報分析サービスを試験的に提供する。

※(R&D PIE)R&D Platform for Investment & Evaluation:R&Dだけでなく、人材養成、制度改善、主要政策などを一つのパッケージの形に構成して支援するR&D投資分析システム

政府は、今回の日本の輸出制限措置を災い転じて福となすチャンスとし、素材・部品・設備の研究開発に対する戦略的投資とプロセスのイノベーションを通じて、素材・部品・設備の対外依存度を乗り越え、国家成長の基盤を拡充していく計画である。これと共に、主要品目事業の成果を高めるため、主要品目事業の仕組みを体系的に見直し、事業推進実績を徹底点検することで、予算拡大による非効率的な要素を事前に取り除く計画だ。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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