知的財産ニュース 将来の健康を守るAR/VRベースの医療技術

2018年12月18日
出所: 韓国特許庁

拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を取り入れた医療技術に関する特許出願が活気を帯びている。

韓国特許庁によると、1998年から2017年までの20年間、拡張現実と仮想現実を取り入れた医療技術に関する特許出願件数は、計277件となっている。

直近6年間(2012年~2017年)の年平均特許出願の伸び率は49.4%と、急増していることが分かった。この背景にはAR/VR技術の発展と、2016年韓国政府9大国家戦略プロジェクトに伴う研究開発支援金の拡大があるとみられる。

*2012年11件、2013年20件、2014年13件、2015年29件、2016年58件、2017年82件

AR/VRに関する出願は、リハビリ関連が81件と最も多いことが分かった。他に医療関係者の訓練関連の出願(45件)、手術(38件)、健康管理(36件)、診断(32件)分野に取り入れるなど、AR/VRの活用分野が多様化している。

具体的には、慢性的な医療人材不足を解決するための人材養成過程に活用される手術・診断・医療関係者の訓練分野、苦痛なリハビリ過程に活用して回復につなげるリハビリ分野、患者の生活の質を向上させる健康管理分野でAR/VRが活用されている。また、慢性疾患の増加、高齢化および専門人材不足といった問題を解決し、さらに効率的なサービスを提供するためのAR/VR活用が拡大している。

韓国人による出願が89.9%(韓国人:249件、外国人:28件)となっており、上位出願人にはキルチェソフト社(8件)、峨山社会福祉財団(7件)、高麗大学(6件)など、民間企業と大学、政府出捐公共研究機関が含まれている。

AR/VR医療技術市場は2016年の17億8,420万ドルから2022年には263億9,291万ドルへと急増(注1)すると見込まれる分野であるため、特許技術を先取りすることが急務である。

特許庁医療技術審査チームのチーム長は、「医療技術分野でAR/VRを取り入れた多様なサービスが提供されており、今後もAR/VR医療技術の需要は爆発的に増加するだろう」とし、「AR/VR医療技術分野を先取りするために、韓国企業は技術競争力を確保するとともに、技術を保護できる特許権の確保に関心を持たなければならない」と強調した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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