知的財産ニュース 中小企業ベンチャー部、中小企業の技術奪取に関わる行政調査権は与えられたが、 専門調査班を発足できずにいる

2018年12月12日
出所: 電子新聞

中小ベンチャー企業部(以下、中企部)に中小企業の技術侵害事件に関わる行政調査権を与えられたが、調査権発動の本格化には時間がかかる見通しである。中企部は元検事や元警察官、デジタルフォレンジックの専門家などの専門人材を採用し、専門調査班を立ち上げる予定であったが、「調査公務員」の職制改編によって頓挫した。業務の空白を防ぐために、内部の人材を投入する予定であるが、調査業務の特性上、専門性強化が急がれる。

12月13日、中小企業の技術保護支援に関する法律改正案が施行され、「中小企業の技術侵害行為」に対する行政措置を取ることが可能になる。中企部が自ら事実について調査し侵害と判断すれば、是正を勧告することができる。侵害企業が勧告措置に従わなければ、中企部はその内容を公表し、過料を科すこともできる。

これまで中小企業の技術侵害については、下請取引における技術の流用、不正競争防止法に基づく営業秘密の侵害に関する行政調査・捜査が行われてきた。そのため、下請関係ではない、又は訴訟への負担から通報できない事例が多かった。

これを受け、中企部は6月に中小企業技術保護法を改正し、行政措置の根拠を追加した。これまでは法律の専門家による諮問・相談や諮問費用支援など、中企部の役割は支援業務に限られていたが、法改正により、その範囲が大幅に拡大した。

改正法によると、技術侵害を被った中小企業が書面で通報すれば、中企部は現場調査や資料提出を大企業などに要求することができる。侵害行為と判断されれば、中企部は違反行為に対して是正を勧告する。勧告に従わなければ、インターネットや新聞などに侵害企業名と侵害内容を公表する。

調査過程で資料を提出しない、又は調査を拒否・妨害、忌避する者には最大1,000万ウォン以下の過料を科す。

中企部はデジタルフォレンジックの専門家や弁護士、弁理士、捜査業務経験者などの特別採用を進めていた。改正案の施行に合わせ、専門調査班を立ち上げ、すぐに調査業務を実施するためである。しかし、制度の持続性のために臨時職員ではなく、公務員を増員する方へと推進する過程で、行政手続に時間がかかったとされる。「調査公務員」の職制を新たに編成するためには、他の部処との業務協力が必要だったのである。

業務の空白を防ぐために、内部に行政調査人材を配置した。調査業務の専門性を確保するために、国家情報院と警察などの協力を得て、担当者全員を対象にした教育も行われた。

職制改編の行政手続き、補充公告期間などを考えれば、専門調査班はおそらく2019年3月にスタートする見通しである。それまでは行政調査と捜査業務を担当する特許庁、警察庁など、中小企業の技術奪取の根絶に向けたタスクフォース(TF)に参加する関係と緊密に協力して対応する方針である。

中企部の関係者は、「今回の行政措置は、取引関係でなくても技術を侵害された事実だけでも、中小企業が救済を受けられるようになったことに意義がある」とし、「中小企業の技術奪取を根絶するための政府の確固たる意志を示す」と述べた。 

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195