知的財産ニュース 廃ビニール、プラスチックのリサイクル技術、どこまで進んでいるのか

2018年9月18日
出所: 韓国特許庁

特許から見たリサイクル技術の現状

韓国特許庁は、最新の10年間(2008〜2017年)の廃ビニール、プラスチックのリサイクル技術に関する国内の特許出願の現状について分析した。その結果によると、主に固体燃料の製造技術、油絵技術、又は建築材料の製造技術などに関する特許出願が多く、新しい製造工程や装置に関する技術より、生産性を向上させるために既存の工程や装置を改良する技術に関する出願件数が多いことが分かった。

固体燃料の製造技術とは、廃ビニールなどを細かく粉砕した後、木材などと混ぜ、その混合物を小さな粒形に圧縮し、燃料用ペレット(pellet)にする技術を意味する。製造された燃料用ペレットは、暖房用燃料や工場、又は火力発電の燃料として使用することができる。

固体燃料の製造技術は特許を出願したリサイクル技術の45%を占めている。その理由としては、油絵技術に比べて簡単な設備、経済性、事業化などが挙げられる。

最近は、燃料用ペレットのカロリーを高めるために、廃木材や下水汚泥などのさまざま添加物を投入する技術、製造の生産性を高めることができるよう、原料となる廃プラスチックを事前に種類別に選別するなどの工程を改善する技術が特許を取得している。  

廃ビニールなどを溶融した後、400℃以上の高温で分解し、軽油などの産業用燃料や石油化学の原料にする油化技術に関する出願も多いことが分かった。

油絵技術は特許を出願したリサイクル技術の32%を占めている。廃ビニールなどを分解する過程で多くのエネルギーがかかるため、消費量を減らす省エネ技術、不純物を除去して生産された燃料の品質を改善することができる技術などが特許を取得している。

建築材料の製造技術とは、廃プラスチックなどを加熱・成形したり、加熱後、他の金属材料などと結合させて建築材料を製造したりする技術を指す。リサイクル技術の23%を占めており、主に歩道用ブロックや屋根パネル、建物の壁などのさまざまな建築材料を製造する応用技術が出願されている。また、建築内装材よりは外装材に適用されている。

特許庁資源再生審査チームのチーム長は「最近のリサイクル技術に関する特許出願の動向を見ると、新しい工程や装置に関する技術ではなく、改良技術が出願されており、特許出願件数も過去10年間、減り続けているため、この分野は既に成熟段階を経て衰退期の段階に入ったといえるだろう」とし、「ただ、大気汚染や廃ビニールなどの回収・処理問題が大きな社会問題になっているだけに、今後、リサイクル技術に対する関心も再び高まるだろう」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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