知的財産ニュース 審査官の増員が特許品質の改善につながる
2018年9月13日
出所: 韓国特許庁
韓国特許庁は特許審査官を2017年に30人、2018年には16人増員するなど、特許審査官の増員に努力してきた。その結果として審査結果に対する出願人の受容度が向上(注1)するなど、審査品質に改善効果が現れている。
過去、特許庁は20カ月程度の審査処理期間(注2)を短くするために、あらゆる行政力を注ぎ、審査品質の改善には力を入れることができなかった。しかし、2015年に10カ月の審査処理期間が定着し、特許1件当たりの審査投入時間を増やすなど、審査品質の改善に取り組んでいる。
米国など主要国の特許庁も自国企業の競争力を強化するために、特許品質を向上させる政策に取り組んでいる。中国は習近平国家主席が特許審査の品質や効率性向上の注文をつけ、10年前は2〜3千人に過ぎなかった特許審査官を1万人以上に増員するなど、自国の技術革新と知的財産権保護への投資を惜しまない。
国 | 2006年 | 2007年 | 備考 |
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米国 | 4,779 | 7,961 | 約1.7倍に増加 |
中国 | 2,046 | 11,421 | 約5.6倍に増加 |
韓国 | 714 | 866 | 約1.2倍に増加 |
特許庁は今後も、より多くの専門人材を審査官に補充していく予定である。最近、特許庁が補充した審査官の77.3%は修士号を取得した優秀な理工系人材であり、63.6%は女性審査官(注3)である。質の良い雇用創出という観点から見れば、キャリアが途絶えた女性科学者、研究や現場での経験が豊富な理工系人材の持つ専門性を、審査官として活用できるため、意義深いといえるだろう。
特許庁特許審査企画局の局長は「革新成長を主導する強い知的財産の創出は、高品質の審査サービスから始まる」とし、「審査人材を増員し、迅速かつ正確な特許審査が行われるように努力しており、女性科学技術者など優秀な理工系人材を中心に人材を補充して、質の良い雇用創出を掲げる政府の国政の方向に合致するように努力したい」と述べた。
注記
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審査結果(拒絶決定)に対する出願人の受容度(%):(2016)91.9→(2017)93.2→(2018.6)93.5
受容度とは、審査官の拒絶決定に対し、審判請求をせずに受け入れること -
(2010)18.5カ月→(2012)14.8カ月→(2014)11.0カ月→(2016)10.6カ月→(2018.6)10.4カ月
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新規採用した人材は2017年6人、2018年38人、そのうち修士号・博士号は34人、女性は28人
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