知的財産ニュース 特許庁、「米中間の技術覇権戦争と知的財産保護政策」と題する国会政策討論会を9月5日に開催

2018年9月5日
出所: 韓国特許庁

技術覇権競争時代の生存戦略、知的財産保護強化の方向について模索

国会産業通商資源中小ベンチャー企業委員会(以下、産資中企委員会)の幹事議員3人(イ・オンジュ、イ・ジョンベ、ホン・イラク)と特許庁が共催し、韓国知識財産保護院が主管する「米中間の技術覇権戦争と知的財産保護政策」と題する国会政策討論会が9月5日、午前9時20分から国会議員会館(第1小会議室)で開催された。 

今回の政策討論会は、米中貿易戦争について技術覇権を確保するための知的財産という観点から考察し、韓国経済の生存戦略については知的財産の保護や執行制度の強化を中心に模索するために開かれた。  

特に、最近、増えている技術奪取・流出問題の本質は知的財産にあることを確認し、知的財産が革新成長の重要なインフラとして機能するための保護政策・執行政策の改善策について官民の専門パネリストが議論を深めた。  

政策討論会に参加した国会議長は「最近の米中貿易戦争は世界経済をめぐる覇権争いを繰り広げるG2による予告された力比べ」とし、「半導体、自動車、ディスプレイといったコア技術の海外流出防止対策が喫緊の課題となっている韓国が、G2の知的財産権をめぐる対立から学ぶことは多い」と祝辞を述べた。 

産資中企委員会の委員長も「第4次産業革命時代において革新的なアイデアと技術を知的財産として保護することが国家競争力のカギを握る」としつつ、「米中技術競争からも分かるように、知的財産保護を強化することで、技術大国としての存在感を高めなければならない」と祝辞を述べた。  

続き、討論会の共同主催者、イ・オンジュ議員は「知識と情報が競争力の源泉である第4次産業革命時代を迎え、知的財産保護の重要性が増している」とし、「この討論会が国内技術の海外流出を防ぐ契機になることを期待している」と訴えた。

また、イ・ジョンベ議員は「これまで米国は自国の技術覇権を維持するために、特許フレンドリー政策など、知的財産保護を強化することで、競争国を牽制してきた」としつつ、「韓国もグローバル競争に勝ち抜くためには、技術革新を起こして源泉・標準技術を先取りし、それを知的財産として保護することが何より重要だ」と述べた。

さらに、ホン・イラク議員は「知的財産保護を先進国のレベルまで引き上げなければならない」と強調し、「悪質な特許など、知的財産権侵害に対する懲罰的損害賠償、被害者の立証責任の緩和など、国会で審議中の改正案を早く成立させるべきだ」とし、国会が役割を果たすように促した。

最後に、特許庁次長は「米中間の技術覇権競争から見るように、主要国は知的財産の確保を国の成長戦略の重要な手段として積極的に活用している」と強調し、「この政策討論会を機に、強くて柔軟な方向へと知的財産保護のパラダイムシフトが起こり、知的財産が革新成長の基盤となることを願っている」と述べた。

今回の討論会では、「歴史・経済から見た米中間の技術覇権競争」、「米中間の技術覇権戦争、中国政府の対応戦略」、「革新成長と知的財産保護戦略」のテーマで発表が行われた。

第一に、韓国経済新聞の論説・専門委員が先進国と後発国との技術競争を歴史・経済面から掘り下げ、米中間の競争に対する中長期的な展望を提示した。

彼は、最近、ホワイトハウスが発表した報告書(注1)を引用し、中国が米国をはじめ、世界経済に及ぼす影響、中国がどのように米国などの先進国の技術や知的財産権を奪取しているかについて紹介した。

第二に、成均館大学中国大学院の教授が米中間の技術覇権戦争における中国政府の対応戦略について、知的財産の観点からまとめた。

教授は、米国の対中関税賦課が「中国製造2025」の技術分野に集中しているとして米中貿易戦争の本質は技術戦争だと訴えた。また、投資の増加率、特許出願件数などの指標を活用し、米中の技術力の差について分析する必要があり、現在、米中で5G技術標準をめぐる競争が激化していると評価した。

最後に、国家知識財産委員会の知識財産振興官が革新成長に向けた知的財産保護戦略について発表した。

振興官は、米国、日本など主要国の知的財産政策の動向、国家知識財産委員会が発表した第2次国家知識財産基本計画および2018年度施行計画の主要内容を紹介した。

続き、損害賠償の現実化、特許庁の行政調査および是正勧告の強化など、弱くて硬直な保護から強くて柔軟な保護へのパラダイムシフトを起こす政策の方向を提示した。

発表後の討論および質疑応答では成均館大学法科大学院の教授が座長を務めた。「キャリア・アンド・スカウト」の代表と「考えを示すエンターテイメント」の代表が、営業秘密および製品形態の保護の必要性について、実際の事例を交えながら企業の立場から政策提言を行い、企業紛争研究所の弁護士、中央大学産業セキュリティ学科の教授、知識財産研究院の研究本部長がパネリストとして参加し、知的財産保護に関する各テーマの争点について議論した。

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