知的財産ニュース 創造経済イノベーションセンターの機能強化、地域特化事業から地方起業のハブまで

2018年8月6日
出所: 電子新聞

創造経済イノベーションセンター(以下、イノベーションセンター)は、技術ベース起業の活性化、中小ベンチャー企業の科学技術革新力の強化を図るために設けられた。

2014年9月、大邱イノベーションセンターを皮切りに、2015年7月までに全国17地域に17カ所のイノベーションセンターが開設された。イノベーションセンターは朴槿恵前政権の核心政策であった「創造経済」を実行する本拠地として注目を集めた。

イノベーションセンターでは産業の特性と大企業の力に焦点を当てた地域特化事業が運営され、大企業・政府・自治体が起業・スタートアップを共に支援する仕組みになっている。大邱の特化産業は情報技術(IT)・電子・繊維で、後援はサムスンが行い、忠清北道の特化産業はバイオ・ビューティーで、後援はLGが行っていた。  

全国のイノベーションセンターのうち、最初に設立された大邱センターは、1年間、ベンチャー企業16社に25億ウォン規模の投資を行った。忠清北道はスタートアップ56社・中小企業45社に4,110億ウォンを投資した。釜山は67社を支援して革新商品145点を発掘し、163億ウォンを売り上げた。全羅南道は6社を発掘・支援し、4,150万ウォンを売り上げ、27人の採用を生んだ。

運営後1年が経った頃、効率について疑問が呈された。雇用創出と地域経済の発展という役割を果たしているのかという指摘であった。

朴槿恵大統領の弾劾を求める気運が高まるととともに、企業と自治体はイノベーションセンターへの予算を徐々に削減した。そして文在寅政権が発足後には創造イノベーションセンターの機関名と役割が俎上に載った。

イノベーションセンターの前身である創造経済タウンのウェブサイト構築試案をめぐる疑惑とともに、大企業を巻き込んだのではないかという声が高まったためである。

現政権は、センターの看板はそのまま残して機能だけを改めることにした。中小ベンチャー企業部はセンターの名称にこだわるよりも、各イノベーションセンターの強みを生かす方向で組織を再編し、機能を充実させることにした。

政府は今後、イノベーションセンターを地方起業のハブに変えていく方針である。このため、各技術イノベーションセンターの役割を一部調整し、拠点化する計画である。京畿創造経済イノベーションセンターは、従来のモノのインターネット(IoT)・フィンテック・ゲームから自動運転、仮想現実(VR)・拡張現実(AR)、フィンテック、情報通信技術(ICT)へと特化分野を改めた。

大田は人工知能(AI)、先端センサ、全羅北道は農業バイオ・食品、ソウルはデザイン・ファッション・文化、浦項はバイオ分野、仁川はヘルスケア・ドローン分野がそれぞれ追加された。釜山は流通分野、慶尚南道は機械分野、京畿はグローバル分野、忠清南道は特許サービスの全国拠点として育成される。ソウルと全羅南道はソーシャル・ベンチャースタートアップを発掘、支援するリーダー役を務める。

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