知的財産ニュース AI関連の特許競争が加速化、独走するサムスン電子をETRI・SKTが追撃

2018年8月1日
出所: 電子新聞

第4次産業革命の中核核心技術とされる人工知能(AI)の分野で最近7年間、韓国国内特許出願が急増していることが分かった。特許出願件数は4〜5年ごとに倍増する傾向にある。サムスン電子がAI関連特許出願をけん引している中、クアルコムやマイクロソフト(MS)、Googleなどの外国企業による出願も活発であった。

8月1日、電子新聞が特許情報振興センターに依頼し分析した資料によると、2012年から今年上半期までのAI特許出願件数は1,753件となっている。  

注目すべきは、特許出願が急増したことである。AI関連の特許出願件数は2007年には111件であったが、5年後の2012年には208件となり、4年後の2016年にはほぼ倍増の388件となった。

昨年と今年の出願件数は、それぞれ138件と18件となっているが、これは未公開特許を差し引いた数値である。未公開特許が公開されると、特許出願件数も増えるだろう。

特許情報振興センターの関係者は、「特許出願から公開までの1年6カ月の間は特許を未公開にすることができるため、通常2年以内に発表される統計には未公開特許が含まれない」とし、「未公開特許が公開されると、昨年と今年もAI関連の特許出願が増加する流れは続くだろう」と述べた。

AI関連の特許出願はサムスン電子、SKテレコムなどの企業が主導し、大学や研究機関が追う形となっている。2012年から今年上半期までの出願件数を見ると、企業による出願が1,051件で全体(1,753件)の59.9%を占めており、次いで大学373件(21.2%)、公共機関237件(13.5%)、個人92件(5.2%)となっている。

出願の主体別で見ると、サムスン電子が独走するなか、韓国電子通信研究院(ETRI)、クアルコム、SKテレコム、マイクロソフト(MS)が後を追っている。サムスン電子は2012年から2018年上半期まで145件のAI関連特許を出願した。続いてETRI 106件、クアルコム85件、SKテレコム43件、MS 39件の順であった。これらの出願件数は418件と、2012年から今年上半期までの出願件数(1,753件)の23.8%を占めている。 

分野別では、視覚理解技術関連の特許が多くなっている。視覚理解技術とは、映像の内容や状況を理解し、予測する技術である。続いて言語理解技術、状況理解技術関連の特許などがあった。音声認識などのAI技術と製品の融合に伴い、源泉技術より応用技術関連の特許が多くなった。 

特許情報振興センターの関係者は、「学習・推論とコグニティブ・コンピューティングについては、AIの源泉技術に分類し、視覚・言語・状況理解については、直ちに製品・サービスに取り入れる応用技術に分類した」とし、「実際、AI関連技術が製品に取り入れられているため、応用技術を中心に特許出願が増加した」と説明した。

今後、関連市場が拡大するとみられるなか、AI関連の特許出願競争は激しくなるだろう。クアルコム、MS、NTTドコモ、Googleなどグローバル企業も韓国に多くのAI関連特許を出願している。 

延世大学コンピュータ科学科教授は「グローバル企業はAIに関して韓国市場に潜在力があると見ている」とし、「製造業の分野でディープラーニング(深層学習)を活用して効率を高め、故障を最小限に抑える特許がさらに増えるだろう」と見込んだ。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195