知的財産ニュース 大型造船3社の特許出願1,000件時代は終わりになるのか。

2017年3月21日
出所: 韓国特許庁

韓国特許庁が昨年の国内大型造船3社(注1) の特許出願を集計した結果、造船3社の特許出願が全て1,000件以下に減り、去る2010年にサムスン重工業が1,101件を出願したことから始まった造船分野の特許出願1,000件時代が6年ぶりに幕を下ろしたことが明らかになった(参考資料1)。

昨年の各社別の特許出願の件数をみると、サムスン重工業898件、大宇造船海洋861件、現代重工業834件と、造船3社ともほぼ同様の水準を記録したものの、前年比平均25.4%急減して造船業界の苦しさが特許出願にそのまま反映したとみられる(参考資料1:国内大型造船3社の特許出願動向)。

これを具体的にみると、昨年、造船分野の中核である船舶分野(IPC B63(注2) 基準)の特許出願の件数は、持続的な受注難と構造調整等の経営環境の悪化により、2,301件(前年比17.7%減少)に止まり、特許出願が最も活発であった2014年(3,692件)の62%の水準に過ぎないことが明らかになった(参考資料2:船舶分野(B63)の特許出願動向)。

5つの細部技術別の特許出願の件数(出願割合)をみると、2014年に船舶構造及び意匠品、船舶用推進及び操舵装置、船舶用補助機器、船舶進水及び水難救助、潜水艦分野がそれぞれ、2,415件(65%)、526件(14%)、439件(12%)、221件(6%)、91件(3%)から、昨年それぞれ、1,583件(69%)、229件(10%)、226件(10%)、208件(9%)、55件(2%)に減少したと調査された(参考資料3:船舶分野(B63)技術分類別特許出願動向)。

また、最近3年間、船舶分野における国内出願の外国人の特許出願の件数をみると、2014年171件から2015年200件に増加したものの、昨年159件に前年比20.5%減少し、国内の造船産業の不況が外国人の国内出願にも影響を与えたと判断される(参考資料4:船舶分野(B63)内・外国人の特許出願動向)。

一方、特許庁は、造船分野の特許出願の増加と特許競争力の強化のために、該当業界で戦略的特許経営を支援するカスタマイズ型「IP-R&D特許セミナー」開催、産業現場との疎通と協力のための「公衆審査」実施及び「造船海洋の日」に優秀発明家を発掘して褒賞する等の支援を持続的に行っていく予定である。

特許庁のクォン・ヨンホ次世代輸送審査課長は「最近、造船業界の経営難により、特許出願が大きく急減したことが深く懸念され、優秀な人材と中核技術、そして特許権の確保が、近づく国内造船産業の復活のための最後の堡塁であることを忘れてはいけない」と強調した。

国内大型造船3社の特許出願動向

船舶分野(B63)の特許出願動向

船舶分野(B63)技術分類別特許出願動向

船舶分野(B63)内・外国人の特許出願動向

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