知的財産ニュース 海外進出知財コンサルティング、1,151億ウォン効果

2017年2月16日
出所: 韓国特許庁

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事例:携帯用血糖測定器を製造する中小企業A社はドイツへの輸出を進めている途中、日本の競争企業B社から特許侵害警告状が送られてきた。

A社は、特許庁の「海外知財権紛争予防コンサルティング」を積極的に活用し、ドイツ連邦特許裁判所に日本のB社の特許に対する無効訴訟を提起した。これに対する対応としてB社がドイツ・マンハイム(Mannheim)の民事裁判所に特許侵害訴訟を提起したが、A社はコンサルティングを通じてB社の特許の無効可能性を強く抗弁し、侵害訴訟手続きを中止させた。

その後、ドイツ内の販売先から注文が増え、2015年に比べ2016年売上高は30億以上増加した。2016年12月には、ドイツ連邦特許裁判所がB社の特許が無効という予備の決定を下しており、2017年3月末の最終審での勝訴の可能性が高まった。

特許庁が実施する海外進出企業向けの知的財産権コンサルティング支援事業が計1,151億ウォンの経済的効果を達成したことが分かった。

特許庁と韓国生産性本部が2009年から2015年まで支援を行った計1,064社の企業を追跡調査しアンケートに回答した523社を分析した結果、企業1社当たり平均2.2億ウォンの経済的効果が発生し、全体の効果は1,151億ウォンに達するものと分析された。

これは、投入された予算(155億ウォン、回答企業523社基準)の約7.4倍に達する成果だ。

また、コンサルティング支援を受けた企業の65%が海外の知財権紛争予防及び対応戦略を活用して製品の輸出に成功したことが調査から分かった。輸出の準備中又は国内販売段階などにある企業も27.5%を占めている。

支援を受けた企業の知財権の海外出願・登録件数は、コンサルティング以前平均4.1件だったのが10.1件に増えた他、知財権担当者も0.8人から1.9人に増加し、海外知財権紛争への対応力が高まったことが明らかになった。

特許庁は2009年から中小・中堅企業に対し、輸出前は海外の知財権紛争に備え、輸出後は現地で発生する訴訟など隘路を解消できるよう、コンサルティング費用を支援※している。
※中小企業には、コンサルティング費用の70%、中堅企業には50%を支援。最大2千8百万ウォン

今年は、事業予算98億ウォンを投入して中小企業及び中堅企業約500社について支援を行う計画だ。韓流ドラマやバラエティなどのコンテンツの知財権保護戦略を提供するコンサルティングも試験的に運営する予定だ。

特許庁のパク・ソンジュン産業財産保護協力局長は「知的財産権を確保せずに海外に進出するのはパラシュートなしに飛び降りるのと同じだ。韓国企業が特許庁の支援事業を積極的に活用して、海外進出に成功することを望む」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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