知的財産ニュース 人工知能関連特許の登録動向

2016年12月19日
出所: 電子新聞

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米マイクロソフト(MS)が第4次産業革命の柱である人工知能(AI)に関する特許を最も多く保有している企業であることが分かった。一方、国内企業はAIに係る技術や特許の確保が急がれることが明らかになった。

情報通信技術振興センター(IITP)は、1995年から20年間IP5(米国・日本・欧州・中国・韓国)特許庁に登録されたAI特許の合計を出し、MSが最多の992件保有していると発表した。MS特許管理子会社である「マイクロソフト・テクノロジーライセンシング」も150件に上るAI特許を保有している。これを合わせると、MSが持っているAI特許は計1,142件と2位のグーグル(487件)の2倍以上となる。IBMとアップルはそれぞれ433件、262件で後に続いた。

事務機器メーカーである米国ゼロックスと、GM・ボーイング研究開発機関であるHRLラボラトリーズもそれぞれ151件と140件の特許を登録した。米国脳科学・AI技術企業であるヌメンタもAI特許を138件確保した。

アジアでは、日本事務機器・カメラメーカーであるリコーが9位(122件)に上がった。10位は、スマートフォンの映像揺れ防止ソフトウェア等、高級映像技術で有名なシリコンバレー企業「デジタルオプティックス」の欧州法人(110件)である。

MS・グーグル・IBM・アップル・ゼロックス等、上位5社が保有したAI特許では「音声理解」技術が多かった。IITPは、機械が人間の話を理解して多様な業務をこなす「AI音声秘書」がスマートフォンとオンラインサービス等で人気を集めているからだと分析した。

リコーは、視覚理解に関するAI特許に重点を置いた。同社は、工場の不良品検出装置や自律飛行無人機等において「人工の目」の役割をする視覚AIの開発に積極的に投資した。

HRLラボラトリーズは、人間の感情と空間等を認識する「状況理解」分野の特許が多かった。ヌメンタは知識を自ら学んでハイレベルの分析等ができる「学習及び推論」分野に注力した。

IITPは報告書において「MS等海外の先行会社がAI分野で大量に特許を出願して技術を先取りし、特許の壁を拡大している。国内のAI技術水準はまだ米国の69.5%に過ぎず、関連特許出願も先進国と比べて大幅に不足しており、対策作りが急がれる」と指摘した。

シン・ミョンジン記者 mjshin@etnews.com

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