知的財産ニュース 特許庁、知的財産サービス業実態調査の結果を発表

2016年3月17日
出所: 韓国特許庁

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特許庁は、2015年知的財産サービス実態調査の結果、知的財産サービス企業当たり売上額は一般のサービス業より83%高く、従業員1人当たりの売上高も6.5%高いことが調査から分かったと発表した。

実態調査[1]は、特許庁と韓国知識財産サービス協会が韓国著作権委員会の協力を得て、2014年度に制定・承認された知的財産サービス産業の特殊分類[2]※を基盤に実施した。

※知的財産サービス活動による7の大分類、13の中分類及び17の小分類に区分

これまで知的財産サービス産業は、統計調査の範囲が産業財産権サービス※※を中心に構成され、知的財産サービス産業の現況の正確な反映が困難だった。これからは、知的財産サービス実態調査により統計の基盤が整えられ、関連産業に対する体系的な育成政策の作成が可能になると期待されている。

※知的財産サービス産業:産業財産権及び著作権の関連サービスを全て含む。
※※産業財産権サービス:特許(実用新案を含む)、商標、デザイン、営業秘密に係るサービスのみを含む。

知的財産サービス企業の売上[3]関連調査の結果

2014年度、知的財産サービス事業の売上高は計4兆8,556億ウォンと推定され、このうち、産業財産権関連の売上高は約1兆7,913億ウォン、著作権関連の売上高は約3兆642億ウォンであることが調査から明らかになった。これは、統計庁(2014年時点)が発表した一般サービス業の売上高1,478兆ウォンの0.3%程度であるが、企業当たり平均売上高は9億9,438万ウォンと、一般サービス業の事業体当たり売上高5億4,400万ウォンと比べると83%高く、付加価値がより高いことが分かる。

産業特殊分類に基づいて区分すると、知的財産の流通業の売上の割合が41.5%と最も高く、知的財産情報サービス業(30.4%)、知的財産法律代理業(15.0%)、知的財産創出支援及び出版、施設運営業(7.4%)の順だったが、これを企業当たり平均売上の面から見ると、知的財産金融・保険業が55.9億ウォンと最も高く、知的財産流通業(53.3億ウォン)、知的財産法律代理業(7.9億ウォン)、知的財産情報サービス業(7.4億ウォン)の順となる。

※知的財産流通業は映画、ビデオ物及び放送番組の配給等、知的財産関連著作物等を消費者に流通する(卸・小売業含む)産業活動を意味

知的財産サービス業の従事者関連調査の結果

知的財産サービス業務を遂行している人数は計3万3千人で、知的財産サービス企業当たり平均6.8人の人材を保有していることが明らかになった。これは、統計庁(2014年時点)が調査した一般サービス業の従事者数1,067万人の0.3%程度であるが、1人当たりの売上高は1.47億ウォンで、一般サービス業の1人当たりの売上高の1.38億ウォンより6.5%高く、高付加価値産業であることが分かった。

知的財産サービス業務遂行人員を産業特殊分類によって区分すると、知的財産情報サービス業分野が31.5%と最も高く、知的財産流通業(26.0%)、知的財産法律代理業(21.7%)、知的財産創出支援及び出版、施設運営業(9.3%)の順だった。これを知的財産サービス業務遂行人員一人当たり平均売上の面から見ると、知的財産流通業が2.3億ウォンと最も高く、知的財産情報サービス業(1.4億ウォン)、知的財産創出支援及び出版、施設運営業(1.2億ウォン)、知的財産法律代理業(1億ウォン)、知的財産コンサルティング・教育及び広報業(1億ウォン)の順となる。

知的財産サービス企業の見通し

今後、知的財産サービス企業の売上が持続的に成長すると予測した企業は35.5%であるのに対し、売上が減少すると予測した企業は13.0%に過ぎず、多くの企業が売上の増加を見込んでいることが分かった。また、2年以内に知的財産サービス人材の補充計画がある企業は38.9%であるのに対し、人員削減の計画がある企業は1.9%に過ぎず、補充予定の人員は1.19万人と推定された。

また、企業各社は、知的財産サービス市場の成長に向けた取り組みについて、企業に対する政府の投資支援(57.9%)、専門人材の養成及び雇用支援(36.8%)、事業の代価の現実化及び適正収益性の保証(31.0%)等が必要だと認識していることが調査から分かった。

これを受けた特許庁は、知的財産ビジネスの活性化及び知的財産中小企業の資金調達のために150億ウォン規模のIPプロジェクト-知的財産サービス企業連携ファンドを造成する計画であり、税金減免業種に知的財産サービス産業を反映させるための租税特例制限法改正等、政策面での支援について関係機関と継続して協議していく計画であることを明らかにした。


注記

[1] 標本抽出は、各中分類別比例配分を通じて抽出し、標本誤差は95%の信頼水準で±4.36%だ。
[2] 著作権委員会が提供した著作権産業統計を反映し、関係省庁(知財委、文化体育観光部、特許庁、統計庁、著作権委員会、牧園大学、KAIPS)の協議や専門家会議の結果を通じて特殊分類体系を導出
[3] 本調査の売上及び人員の統計は、産業特殊分類による中分類別基準による企業が知的財産と関連した事業を通じて得た売上及び知的財産と関連した事業に必要な業務をしている人員に限定して調査された結果である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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