知的財産ニュース スモールセル技術に関する特許出願が増加

2016年4月27日
出所: 韓国特許庁

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5世代(5G)移動通信時代の到来を目前にしている中、大容量のデータを速いスピートで伝送できるようにする「スモールセル技術」に係る特許出願が増えている。

スモールセルとは、既存の基地局より狭い領域を支援する小型基地局であり、大型基地局の役割を多数のスモールセルが分担して多様なサービスを効率的に提供するという目的から登場した。家庭やオフィスのような室内、データの利用量が多い地域や信号が弱い地域に少ない費用で設置することができるため、通話品質を簡単に改善できるという長所がある。

特に、数十Gbps[1]の速度でデータを伝送できる5G時代には、ウェアラブルデバイスの普及、モノのインターネットの登場、仮想現実コンテンツの増加等により連結されるデバイスの数とトラフィックの量が爆発的に増加すると予想されることから、基地局の負荷を効果的に分散できるスモールセル技術が注目されており、関連特許に対する関心もますます高まっている。

特許庁によると、ここ5年間スモールセル関連の国内特許出願の現状を調査した結果、2011年183件に止まった出願件数は2015年には557件と3倍以上に増加した。

技術分野別では、基地局の無線資源を管理する技術関する出願が29%と最も大きな割合となっており、さらに、端末の移動による接続制御に関連する出願が23%、モニタリング及び電力管理に関する出願がそれぞれ10%を占めており、出願主体別では、クアルコム、LG電子、サムスン電子等の企業(89.1%)、韓国電子通信研究院等の研究機関(9.4%)、大学(1.4%)、個人(0.1%)の順となることが調査から分かった。

これは、スモールセル技術が商用化した後、多くの企業が本格的な市場競争を始める前に、大容量のトラフィックを効率的に分配し、基地局の増加により発生する干渉問題を最小化する部分に技術開発を集中させた結果と考えられる。

特許庁のイ・ドンファン移動通信審査課長は「現在、世界各国の移動通信企業は5G市場の主導権を先取りするための中核技術の開発に取り組んでいるが、莫大な費用と収益モデルの不在という課題は最優先で解決しなければならない。スモールセル技術は、従来のシステムに柔軟に適用できる技術という点で4Gと5G時代をつなぐ架け橋の役割をすることが予想されるため、関連技術の開発や特許権確保の重要性に対する認識が求められる」と述べた。


注記

[1] Gbps(ギガビピエス)は、1秒に約10億ビットのデータを送れることを示すデータ伝送速度の単位で、1Gbpsは1ギガバイトの容量の高画質の映画一本を8秒でダウンロードできる速度

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