知的財産ニュース 世界のデザイン出願、20年ぶり減少傾向へ

2016年7月12日
出所: 電子新聞

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過去20年間急成長してきた世界のデザイン市場が2014年に入って急激に低迷し始めた。
IP専門メディアのIPワッチドックによると、2013年95万6,600件に達していた世界のデザイン出願は、2014年に入って85万4,400件に急落した。約10%の減少となった。中国をはじめ米国、日本、韓国等、主要特許大国の出願減少が主な原因と分析された。

世界知的所有権機関(WIPO)の報告書によると、2014年中国のデザイン出願は前年比14.9%減少した。中華人民共和国国家知識産権局(SIPO)が1985年デザイン出願を開始して以来、初めのマイナス成長である。同期間、日本(-4.5%)、韓国(-2.3%)、米国(-1.8%)等軒並み減少した。

一方、欧州地域では、デザイン出願が増加した。フランスが7.6%と最も高い成長を記録し、その次にドイツ(+6.6%)、ロシア連合(+5.5%)、スイス(+2.8%)等が続いた。この他に、イラン(+83.7%)、インド(+9.6%)、モロッコ(+9.2%)等においてもデザイン出願が増加した。

中国のデザイン出願の減少は、中国経済がこれまでとは違うことを端的に示す事例という評価が出ている。

韓国知識財産戦略院のペ・ジンウ グループ長は「デザイン特許は、製品の生産と密接に係っており、各国の製造業の活性化の度合いを判断できる。中国のデザイン特許の減少は高成長を続けていた中国製造業の成長エンジンの異常兆候と解釈される」と指摘した。実際に2015年、中国の経済成長率は6.9%と25年ぶりに最低値を記録した。デザイン登録が急増したイランの場合は、昨年国内総生産(GDP)が前年より8.7%増加した。

中国のデザイン出願は減少傾向にあるが、依然として全世界のデザイン出願の66%(56万4,555件)を占めている。また、まだグローバル企業の中国におけるデザイン出願は増加している。中国の製造競争力はまだ強固であることを意味する。

一方、中国を除いた日本、米国等では、アップル・サムスン間のデザイン訴訟から火がついたデザイン確保競争が収まり、デザイン特許出願が減ったものと分析される。

イ・カンウクIPノミックス記者 wook@etnews.com

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