知的財産ニュース データ完全削除技術に関する特許出願動向

2016年4月28日
出所: 韓国特許庁

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パソコンやスマートフォンを廃棄し、又は中古市場に流通[1]させるためには、保存されているデータを削除することが必要だ。個人情報や機密情報の無断流出を予防するためである。しかし、コンピュータのOSで提供する記録媒体フォーマット機能や、装置の初期化機能等により削除されたデータは、デジタルフォレンジック[2]HW又はSWで簡単に復旧することができる。このような短所を補完するために、データ完全削除技術の開発が行われいる。

コンピュータやスマートフォン等からデータを削除する技術が中小企業や発明家を中心に特許出願されていることが特許庁の調査から分かった。

特許庁によると、コンピュータに保存されているデータの完全削除を目的に開発された特許技術は、過去5年間計38件(2011年6件、2012年2件、2013年8件、2014年10件、2015年12件)が出願された。このうち、32件について審査が完了し、最終的に20件が特許登録された。

出願人の現況を見ると、韓国人が35件(92%)、外国人が3件(8%)を出願した。出願主体では、中小企業が21件(55%)、個人発明家9件(24%)、大企業5件(13%)、大学・研究所3件(8%)等の順であることが調査から分かった。

出願された技術分野では、オーバーライティング技術17件(45%)、機械的破壊(穿孔切断)15件(40%)、デガウジング技術※※2件(5%)等の順に出願された。
※SWを利用して、削除されるデータの位置に任意的パターンを複数回上書き、原本データを削除する技術
※※記録媒体に強い磁力を発散し、磁性を破壊する技術

特許権を取得した技術の内容を見ると、機械的破壊とデガウジング技術は、当該処理装置を小型化し、高性能化する方向に進歩した。また、オーバーライティング削除技術は、ハードディスクとSSD[3]保存の特性による削除アルゴリズムを改善し、実行速度や信頼性を向上させている。

特許庁のマ・ジョンユン電子部品審査課長は「データの完全削除特許技術を適用した多様な装備やアプリが発売されている。情報セキュリティに対する一般の国民や中小業者の意識も向上していると分析される」と述べた。


注記

[1] コンピュータの記録媒体のうち、年に3百万個以上のハードディスクが廃棄、又は中古市場で流通されているという。
[2] デジタルフォレンジック(digital forensics):各種の電子機器又はインターネット上の記録媒体に保存されたデジタル情報を収集・分析し、法的証拠資料を確保するデジタル的な法科学の一つ。
[3] SSD(Solid State Disk):NANDフラッシュやDRAM等、超高速半導体メモリを記録媒体として使う大容量保存装置。ハードディスクに比べ、速いスピード、低騒音、軽量という長所があり、ハードディスクを急速に代替している。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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