知的財産ニュース 災難安全通信網技術のPCT国際特許出願が増加中

2016年12月19日
出所: 韓国特許庁

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最近の慶州で起きた地震やセウォル号沈没事故のような不測の災難事故が発生する時に、消防や警察、軍等の災害関連機関の間でリアルタイムでコミュニケーションを取ることができる災難安全通信網(PS-LTE)が注目を集めている。これに伴い、関連分野の技術開発と知的財産保護に向けたPCT国際特許出願※が大幅に増加している。

※特許協力条約(PCT)に基づく特許出願のことで、一つの出願書を提出することにより世界の全加盟国(2016.9.現在151ヵ国)に同時に特許出願したのと同じ効果を持つ。

特許庁によると、出願公開された災難安全通信網の主要技術の国際特許は、2013年12件だったのが2016年には354件に増加する等、この4年間計687件が出願公開された。
災難安全通信網の主要技術ごとの出願公開件数は「端末間直接通信」が434件(63.2%)、「グループ通信」が164件(23.9%)、「直接無線通信」が64件(9.3%)、「単独基地局構築」が25件(3.6%)となる。

出願人ごとに見ると、LG電子が255件(37.1%)と最も多く、次いでZTE 48件(7.0%)、ノキア46件(6.5%)、シャープ43件(6.4%)、エリクソン40件(5.8%)、ファーウェイ35件(5.1%)、NEC 35件(5.1%)、サムスン電子32件(4.7%)、クアルコム30件(4.4%)の順となり、国内企業を含むグローバル通信会社による出願が多かった。

出願が受け付けられた特許庁を国別に見ると、韓国特許庁に297件(43.2%)が出願され、最多となり、続いて中国特許庁に110件(16.0%)、米国特許庁に93件(13.5%)、日本特許庁に79件(11.5%)、欧州特許庁に58件(8.4%)が出願された。

災難安全な通信網技術分野のPCT国際特許出願で目立つのは、国内企業による出願と韓国特許庁への出願が多いことである。これは、韓国政府が2014年に国家災難安全通信網の技術方式をPS-LTEに指定したことによって国内の関連通信会社が研究開発と標準化活動を活発に推進した結果とみられる。

特許庁のキム・ドンヨブ国際特許出願審査2チーム長は「災難安全通信網に関する技術を開発すると同時に、国際特許と国際標準を確保することが極めて重要である。そのために、国内の関連産業界がPCT国際特許出願のような有効な制度をうまく活用できるように積極的に協力する」と話した。

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