知的財産ニュース 地下上水道管に関する特許出願が増加傾向

2016年4月4日
出所: 韓国特許庁

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特許庁は、地下上水道管漏水感知技術に関する特許出願が持続的な増加傾向にあることを明らかにした。

環境部の上水道の統計によると、2014年1年間、韓国で生産・供給した水道総量は6,214百万m3で、このうち実際有効水量[1]は5,514百万m3であり、漏洩電力比は11.1%と、相当な量の水道が漏水している。

これまで水道メーターを過ぎて建物内の給水管で漏水が発生する場合には、水道料金の加算で使用者による申告及び補修が行われてきたが、地下に埋設された上水道管の区間で漏水が発生する場合には漏水探知が困難という問題点があるため、これを解決する技術が開発されてきた。

特許庁によると、2000年から2007年まで計45件に過ぎなかった地下上水道管漏水感知技術に関する特許出願は、2008年から2015年まで計83件と、増加し続けている。これは漏水率を下げようとするニーズに応えたものとみられる。

全体の出願を出願人別に見ると、中小企業(47%)の割合が最も高く、次に個人(31%)、大学/研究所(14%)、大企業(8%)の順だった。全体的に大企業、中小企業、大学/研究所の出願は増加しているのに対し、個人の出願は大幅な減少傾向にある。

地下水道管の漏水を探知するためのセンサーの種類別では、水分による電気抵抗の変化を測定する導電センサーを使用する場合が最も多く、音響センサー、振動センサーがその後を継いだ。

漏水現象は水資源の損失になるだけでなく、圧力損失による追加的な加圧設備の設置費用の増加により深刻な経済的損失をもたらし、漏水が発生した管路周辺の土質の弱体化等を招き、上水道官の維持・管理を困難にする。

特に、上水道管の漏水は日照りが続く場合、水不足を悪化させかねないという点で、費用だけでなく、公共福祉に係る重要な問題となる。

特許庁の関係者は「地下水道管の漏水感知技術分野は、中小企業の力がよく発揮できる分野であり、国内だけでなく、上水道環境が劣悪な開発途上国における需要も高まるものと予想されるため、市場の先取りに向けた国内/海外特許確保や商用化を通じた競争力強化が求められる」と強調した。


注記

[1] 有効水量は、総供給水量のうち、使用上有効と認められる水量のこと。有収水量(料金が科された水道量)+有効無収水量(料金が科されない水道量)

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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