知的財産ニュース 電気レンジに関する特許出願が増加

2016年5月30日
出所: 韓国特許庁

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最近、有害ガス(一酸化炭素、ラドンガス等)を排出して肺がんやアトピー、認知症等を引き起こしたり、ややもすればガス漏れで安全事故につながりかねないガスレンジより、有害ガスの排出がなく、調理時に安全で掃除が容易な調理装置である電気レンジの出願が増加している。

特許庁によると、ここ6年(2010~2015年)間の調理装置の特許出願は、全体的に毎年減少しているが、電気レンジは2010~2012年73件から2013~2015年127件と74%上昇した。 特に、制御・安全に関する特許出願が2010~2012年24件から2013~2015年62件で250%以上大幅に増加した。

電気レンジの出願増加は、「火を使わないため有害ガスが発生せず、ガスレンジに比べ安全で便利」と消費者の認識が変化し、電気レンジの販売が増加したことによるものとみられる。

電気レンジの種類は、大きく3つ(ハイライト、インダクション、ハイブリッド)に分けられ、加熱方式によって直接加熱方式と誘導加熱方式に分けられる。

ハイライト電気レンジは直接加熱方式で、熱を発生させる発熱体天板の上に置かれた容器を加熱する仕組みだ。最初の発熱はインダクション方式に比べて遅いものの、専用容器が必要なく電源を消しても天板に残った余熱により調理が可能だ。だが、やけどへの危険もある。

インダクション電気レンジは誘導加熱方式で、強磁性素材(ステンレススチール、ホーロー等)の専用容器自体をコイル電磁場の渦電流により短時間で加熱する仕組みで、やけどの危険はないが、専用容器が必要だという短所がある。

最近では、ハイライトとインダクションの短所を補完できるハイブリッド電気レンジが発売されている。熱効率が高く、栄養素の破壊が低い調理にはインダクションを使用し、調理容器の素材に制約を受けない料理にはハイライトを使用して利便性だけでなく、ユーザーの健康やデザインまで改善できる装置が開発され使用されている。

このような電気レンジは、モノのインターネット(IoT:Internet of Things)技術を組み入れ、音声やスマートフォンアプリで調理装置を制御する機能も実現している。例えば、調理装置がスマートフォンと相互つながっており、家の中でも外でもどの場所からも調理過程を確認及び制御できるだけでなく、希望のメニューを選択すると料理レシピによる時間及び火力の調節等をユーザーが自ら設定し、これを保存及び登録することができるため、お年寄りや身体が不自由な人でも容易に調理することができる。また、空気中の汚染物質に関する情報をユーザーのスマートフォンを通じて提供する機能も備える。

一方、安全に関連しては、電気レンジの加熱を停止させた後、一定時間余熱が存在する場合、LED発光によりユーザーの接近を防止する技術や、調理する人の不在又は不注意で調理容器が過熱した場合、電気レンジについているリードスイッチを短絡させそれ以上誘導電流が発生しないようにする技術、電気レンジ使用中に天板のセラミックガラスが割れた場合、発熱体の全体の電源を遮断することで安全事故を防止する技術等が開発されている。

特許庁の関係者は「単身世帯の増加により安全で遠隔制御が可能な知能型調理装置に対する関心が高まっており、国内の電気レンジ市場の拡大に伴い、多くの特許技術を保有している海外家電メーカーとの競争が避けられないものと予想されるので、技術開発の初期から詳しい特許分析を通じて外国の特許技術を回避し、競争力のある強い特許創出に向けた特許確保戦略を立てることが重要となる」と話した。

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