知的財産ニュース ニ次放射線による材料分析技術の特許出願が急増

2016年10月18日
出所: 韓国特許庁

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人間の健康診断や製品の信頼性の確認に対する関心が増えている。これを背景に微量だけでもその元素を正確に分析できる技術開発が活発に行われており、二次放射線※による材料分析技術の国内特許出願が5年前に比べ5倍増加したことが分かった。

※分析対象となる物質(試料)に一次放射線を照射すると、物質は一次放射線エネルギーの一部を吸収し、含有元素が励起状態になる。この時二次的に放出される元素特有の放射線を二次放射線という。

特許庁によると、過去5年間二次放射線による材料分析の国内特許出願は計150件で2011年10件、2012年20件、2013年32件、2014年38件と毎年地道に増加し2015年には50件に達した。

最近、腫瘍の診断や芸術品の真贋判定、溶接及びコーティングの品質検査、土壌汚染物質の分析等のための材料分析技術の重要性が注目されている。そのための装置及び分析方法に対する技術開発が産業界や学界に求められている。これを反映するかのように二次放射線による材料分析技術の国内特許出願が急増したと分析される。

分析技術別の出願現況

代表的な二次放射線による材料分析技術としては、蛍光X線を利用した分析技術と電子又はイオンビームを利用した分析技術が知られている 。

上記の二種類の技術は、過去5年間(2011~2015年)特許出願された二次放射線による材料分析技術全体150件のうち88%(132件)を占めるほど、研究開発が集中的に行われている。

その中で、蛍光X線を利用した分析技術に関する出願は約45%(150件のうち67件)となる。次いで電子又はイオンビームを利用した分析技術に関する出願は約43%(150件のうち65件)を占めている。

出願人別の出願現況

出願人を基準に調査したときは、外国人に比べ、韓国人による特許出願が相対的に多くなっている(約61%、150件のうち92件)。

特に、韓国人出願の約61%(92件のうち56件)は企業による出願であり、企業が国内の二次放射線による材料分析技術に対する研究を主導していることが分かった。

韓国人出願のうち、特許出願の割合が最も高い企業の特許出願は2015年時点で2011年比10倍も増加しており、大学・公共研究機関の特許出願は同期間2倍以上増加した。

さらに、韓国人と外国人の特許出願はいずれも2011年に比べ2015年に5倍増加しており、二次放射線による材料分析の技術開発の重要性が国内外で認識されているものとみられる。

特許庁の関係者は「二次放射線による材料分析技術に対する国内研究者の活発な特許出願は、多様な分野で問題を究明し予測することに大きく貢献できるものであり、二次放射線による材料分析技術の発展を追求するためには、持続的な技術開発と戦略的な特許市場の先取りが必要である」と話した。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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