知的財産ニュース 2016年第1四半期の知財権貿易収支、大幅改善

2016年8月26日
出所: デジタルタイムズ

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今年第1四半期の韓国知的財産権の貿易収支が大きく改善した。特に医薬品技術をフランス等に輸出した効果と国内の大手企業がグーグル・アップル等、グローバルIT(情報通信)企業に出すロイヤルティが減少したことが大きく影響したと分析されている。

韓国銀行が今月24日に発表した「2016年第1四半期の知的財産権貿易収支(暫定)」を見ると、今年第1四半期の韓国の知的財産権貿易収支は7億8,000万ドルの赤字を出した。関連統計を集計し始めた2010年第1四半期から25四半期連続赤字ではあるが、赤字幅は第1四半期基準で史上最低水準となった。昨年第1四半期(19億7,000万ドル赤字)と比較しても、半分を超える11億9,000万ドルも減少し改善傾向が目立った。

知的財産権には特許・実用新案権、商標・フランチャイズ権、デザイン権を含めた産業財産権と著作権等が含まれる。
特に、国内の中小・中堅企業がフランス・米国等に医薬品技術を輸出したことと、国内の大手企業が米国企業に払わなければならない電気・電子製品の特許料が大幅に減少する等の要因に注目すべきである。

まず、国内の中小・中堅企業の第1四半期の知的財産権の貿易収支は、6億3,000万ドルの黒字と集計されたが、これは四半期基準の過去最大規模となる。取引相手国の中でフランスとの取引では、3億3,940万ドルの黒字を出した。これまで赤字が続いてきたが、史上初めて黒字へと転換した。

韓国銀行のキム・ボソン経済統計局国際収支チーム課長は「製薬業界の中小・中堅企業がフランスに技術輸出する際、多くの特許料を受け取った。特定技術を開発して、今後数年間特許料を受け取ることができるために、韓国としてはかなりプラスとなる部分」と説明した。

昨年、韓米薬品はフランス系製薬会社であるサノフィと7兆ウォン規模の糖尿病の新薬技術輸出契約を結んだ。

米国を相手にした韓国大企業の知財権貿易収支の現況も改善した。

通常、韓国との知的財産権の貿易で多くの利益を出す国は米国で、韓国はこれまで慢性赤字を出してきた。ただ、今年第1四半期には、米国との取引で知財権貿易収支の赤字が前四半期(-24億4,000万ドル)より半分程度減少した10億3,000万ドルにとどまり、改善傾向が目立った。

特に、電気・電子製品の知財権輸出は、前四半期10億7,000万ドルから今年第1四半期9億4,000万ドルへと小幅減少したが、輸入は22億2,000万ドルから18億9,000万ドルに大幅に減少した。

取引相手国の中で黒字規模が最も大きい国は中国で、4億7,000万ドルの黒字を出した。 ベトナムとの取引においても4億1,000万ドルの黒字を記録した。

ムン・ヒェウォン記者 hmoon3@dt.co.kr

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