知的財産ニュース 自治体のブランド開発及び商標権登録が活発

2016年2月22日
出所: 韓国特許庁

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各自治体は、記憶に長く残り、当地域を知らせる象徴的なスローガンの開発に積極的に取り組んでいる。地域住民の権利保護及び地域の競争力強化のために開発された自治体共同ブランドの商標権登録が1万7千件に上る等、いわゆる「自治体ブランド全盛時代」が到来している。自治体共同ブランドには、ユニークなシンボルを始め、スローガン、農・特産物ブランド等、非常に多様なものがある。

自治体が開発したブランドを見ると、ハングルと英語を混じって使う場合が多い。例えばソウルの場合、想像の動物である「ハッチ(Haechi)」の形状とその英文字を使っている。 釜山は進取的な気概を表現した「Dynamic BUSAN」を掲げ、大邱は多彩で多様さを目指すという意味で「Colorful DAEGU」という英文字を採用している。

特許庁が2015年末時点全国17広域自治体及び228基礎自治体を対象に自治体共同ブランド保有現況を全数調査したところによると、商標12,340件、サービス標3,440件、業務標章[1]1,374件等、計17,154件の商標権を保有していることが分かった。

市・郡・区を含める広域自治体別の商標権保有現況では、全羅南道が2,598件(商標1,924、サービス標544、業務標章130)と1位を占め、次いで慶尚北道が2,388件(商標1,716、サービス標550、業務標章122)、江原道が2,091件(商標1,534、サービス標387、業務標章170)を保有している。

また、基礎自治体別の商標権保有現況では、慶尚北道安東市が391件(商標217、サービス標173、業務標章1)と1位を占め、全羅南道潭陽郡が381件(商標302、サービス標71、業務標章8)、順天市が288件(商標188、サービス標76、業務標章24)と、それぞれ2位と3位となった。

このように自治体で多くの商標権を保有しているのは、当該自治体が地域の特性や歴史的特性を生かした自治体のシンボル、スローガン、祭り、地域特産物等を商標権に登録して地域住民の権利を保護する一方で、地域経済を活性化させようとする意志がその背景にあると分析されている。

最近では、このような自治体商標について、当該自治体の特産物を生産する企業と協同組合等が自社のブランドに連携して使用するケースが増えている。ブランド間の連携・融合を通じて実質的な自治体広報や製品・サービス販売につなげることを目的としている。

特に、無形財産に対する重要性が強調され、自治体間のブランド競争が激しくなり、このような動きは今後も続く見通しだ。

特許庁のチェ・ギュワン商標デザイン審査局長は「自治体別の商標権は地域で生産・加工・販売される農・特産物に対する権利を確保するものであるので、各自治体は着実なブランド管理により新しい市場を開拓することはもちろん、名品ブランドに育成させる必要がある」と助言した。


注記

[1] 自治体等のように非営利を目的に業務を営んだ者が自分の業務を表象するために使用する標章

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