知的財産ニュース 自動車燃費、軽量鋼板で解決

2015年5月6日
出所: 韓国特許庁

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最近、世界中の環境問題により自動車燃費への規制が強化されるとともに燃費改善への消費者の要求が増え、自動車燃費の改善に向けた自動車用軽量鋼板に関する研究が活発に行われている。

これを反映するように、自動車用軽量鋼板に関連して2014年には2009年の約5倍の特許が登録された。(2009年21件、2014年101件)

その中で高張力鋼板の場合は、特許全体(428件)の46%(199件)を占めるほど、重点的な研究開発が行われている。
高張力鋼板は、一般の鋼板より薄いながら優れた強度を持つ代表的な軽量鋼板であり、最近では高張力鋼板より強度がさらに上がった超高張力鋼板も商用化されている。
その一例に、韓国のA社は、超高張力鋼板の適応割合を51%にまで拡大させた車を発売した。

高張力鋼板以外に、鉄より軽い軽量材料を使用して車を軽量化する方法も商用化されている。
代表的な軽量材料としては、鉄より比重の低いアルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)があるが、これらを使った鋼板は高張力鋼板に比べ製造単価が高い方である。
製造原価が高いにもかかわらず、海外の高級車を中心に軽量材料を使用した車は増え続けている。
海外B社は、車体に占めるアルミニウムの割合が78%にのぼる車を発売し、C社の場合は、車体のルーフにマグネシウム鋼板を適用してルーフの重さを約30%も減らした。

一方、この6年間(2009~2014)登録された軽量鋼板関連の特許の主要権利者として、韓国製鉄会社であるポスコ(28%、120件)、現代製鉄(22%、94件)が1,2位となっているが、JFEスチール(17%、71件)など海外企業が軽量鋼板特許の43%を保有していることが分かった。

海外企業における一般鋼板の関連特許の保有率が27%であることを考えれば、軽量鋼板分野は、海外企業の特許保有量が相対的に多いことが分かる。
特に、日本企業が海外企業の特許の96%(186件のうち178件)を保有しており、国内軽量鋼板市場においては日本企業の特許競争力が相対的に高いものと分析される。

環境規制の強化に伴い、軽量鋼板への需要は今後さらに増加すると予想される。このため、軽量鋼板に関する研究開発は持続的に行われる必要があり、特に、軽量鋼板分野は海外企業の特許保有割合が高いので、国内企業は、特許ポートフォリオを構築すると同時に紛争への対応戦略の策定に取り組まなければならないと思われる。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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