知的財産ニュース フレキシブル電源供給に係る技術開発が活発化

2015年7月8日
出所: 電子新聞

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フレキシブル電源供給に係る技術が注目されている。
特許庁と韓国知識財産戦略院が発行した「2014国家特許戦略青写真」報告書によると、ウェアラブル機器の活用を最大化する「フレキシブル電源供給技術」が将来有望技術に選ばれた。

図:ウェアラブル機器の活用

特に、くるくる巻いたり折り曲げることができる「フレキシブルバッテリー」や振動・光等の捨てられるエネルギーを変換して使う「フレキシブルエネルギーハーベスティング152」技術が注目を集めている。両技術は、ウェアラブル機器に供給する電気エネルギーを貯蔵又は変換するものである。着用感を最大化する技術とエネルギー収集(ハーベスティング)効率の向上がカギとなる。

中核技術名

技術の定義

フレキシブルバッテリー

ウェアラブル機器に供給する電気エネルギーを貯蔵するための技術。ウェアラブル機器の着用感のために柔軟性(Flexibility)を保つよう構成された電池セル及びパッケージッグ技術等と関連する技術。

フレキシブルエネルギーハーベスティング

ウェアラブル機器にエネルギーを供給するための技術。周辺で捨てられているエネルギー(振動、人の動き、熱、電子機器派等)を収集し、ウェアラブル機器に使えるよう電気エネルギーに変換させ再利用する技術のこと。中でも、ウェアラブル機器に適用することができるように柔軟性(Flexibility)を持たせる技術のことを指す。

フレキシブル電源供給技術は、いかなる技術より将来の日常生活を大きく変えるものだと評価されている。電源供給の限界を超えることで、いつ、どこでも多様なスマート機器を利用するウェアラブルコンピューティングが実現できるからである。スマートフォン等、端末の主電源又は補助電源として活用することができる。また、バイオデバイス・靴・時計等のウェアラブル端末にも適用可能だ。

環境保護の観点からも付加価値の創出が予想される。地熱・風力等従来の再生可能エネルギーとは違い、環境の制約がなく、巨大な装置・設備も必要ない。

フレキシブル電源供給技術に係る特許活動も期待通り活発化している。2000年以降、出願が継続的に行われている。このような動きは当面続く見通しだ。

フレキシブルバッテリー分野では、早くから日本企業が技術開発をリードしてきた。韓国企業はその後を追っている。同分野においては、パナソニックが140件の特許を出願し、トップとなった。サムスンSDI(122件)とLG化学(88件)はその後を継ぐ。サンヨやソニーも関連特許を多数保有している。

量的な面では日本企業が優位を占めているが、質的な面では、韓国企業が日本企業に勝る。サムスンSDIとLG化学は、特許質的評価でそれぞれ1位、2位となった。良質の特許を多数確保しているという意味だ。

図:フレキシブルバッテリー技術の主な出願人グラフ、フレキシブルエネルギーハーべスティング技術の主な出願人グラフ

フレキシブルエネルギーハーベスティング152分野は、フレキシブルバッテリーとは大きな違いをみせている。

米国とスウェーデン企業が技術開発を主導している。シーメンス、カリフォルニア大学、GE等が関連特許の出願に主力している他、スウェーデンのABBも技術開発に取り組んで切る。中でも、ABBのフレキシブルエネルギーハーベスティング特許の場合は質的水準が高い。エネルギーハーベスティング分野においては、フレキシブルバッテリーとは違い、韓国企業の活動をあまり見られないのが現状だ。

写真:Apple iWatch

一方、フレキシブル電源供給技術に係る特許訴訟の恐れが高まっている。韓国企業が優位を占めているフレキシブルバッテリー分野には、攻撃的性向の特許管理専門企業(NPE)が多数あることが分かった。代表的NPEとしては、韓国企業を複数回攻撃したITRIを始め、ラウンドロックリサーチやインテレクチュアルベンチャーズ等がある。

イ・カンウク記者 wook@etnews.com

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