知的財産ニュース 歩行者保護用エアバッグ、特許出願急増

2015年5月18日
出所: 韓国特許庁

400

昨年1年間、韓国の交通事故による死者全体に占める歩行者の割合は10万人当たり4.1人と、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最下位であることが分かった。これを受け、韓国政府は歩行環境の改善に取り組んでおり、自動車業界は歩行者保護用エアバッグの開発に積極的に乗り出している。

特許庁によると、歩行者保護用エアバッグに関する特許出願は、2010年の4件から2014年の34件へと約9倍増加しており、エアバッグ特許全体に占める歩行者保護用エアバッグの割合も5%から30%へと急増した。

エアバッグは、ハンドルに装着されている運転席用エアバッグ、助手席全面に装着されている助手席用エアバッグ、ダッシュボード下部に装着されている膝用エアバッグ、シート側面に装着されているサイドエアバッグ、サイドウインド上部に装着されているサイドカーテンエアバッグ、ルーフに装着されているルーフエアバッグ、ヘッドレストに装着されているエアバッグ等、車体内部に設置されるのが一般的だが、歩行者保護用エアバッグは、車体外部に設置され、車と歩行者が衝突した際、数千分の1秒でフロントガラス下部と両側を覆う「U」状に膨らみ、歩行者を保護する仕組みとなっている。

最近では、歩行者の頭部がボンネットに衝突する際の衝撃を吸収する空間を作るため、ボンネットを上昇させる「アクティブボンネットシステム」と歩行者保護用エアバッグが結合され、ボンネットの上昇によりボンネット内側からエアバッグが飛び出し、フロントガラス方向に展開する技術が活発に開発されている。

歩行者保護用エアバッグの特許出願割合を見ると、国内大企業が62%と最多であるが、これは、EUが2004年から車両安全性評価に歩行者安全性の項目を導入し、韓国も2008年から「今年の安全な車」選定項目に「歩行者安全性分野」を追加する等、車の安全性を評価する際に歩行者の安全性まで考慮する国内外環境の変化のためと考えられる。

特許庁自動車審査課のチョ・ビョンド課長は、「IT企業であるグーグルが無人自動車開発に乗り出しており、最近、歩行者保護エアバッグに関する特許を出願したが、これは融合技術時代の本格的到来を示唆するものである。無人自動車の発展に伴い歩行者保護への関心が高まり、今後歩行者保護エアバッグの技術開発と特許出願が増え続けることが予想される」と述べた。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:大塚、柳(ユ)、李(イ)、半田
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195