知的財産ニュース 知識財産権の不当な行使に関する審査指針改正案の行政予告

2015年12月24日
出所: 公正取引委員会

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公正取引委員会は「知識財産権の不当な行使に関する審査指針(以下審査指針)」改正案を策定し、行政予告する。
※今回の審査指針は知財権の行使に関連し、独占規制及び公正取引に関する法律の適用の一般原則と具体的審査基準を規定している。

行政予告期間は2015年12月16日から2016年1月13日まで(4週間)となる。

1.改正背景

現行の審査指針の中で「事実上標準特許」保有者の特許権行使に対する違法性の判断基準が特許権への過度な制限と解釈されかねないとの意見が提起された。
事実上標準特許(de facto SEP)は、正常の市場競争の結果、関連業界で標準のように利用される技術であるため、
標準化機構(SSO: Standard Setting Organization)等がFRAND確約を前提に、標準として採択した標準必須特と同様に規制するのは適切ではないとの意見。
※通常、標準化機構は特許保有者に対し、当該特許が標準特許に含まれることを前提に、公正で合理的かつ非差別的な条件で実施許諾する旨の確約(FRAND 確約; Fair, Reasonable and Non-Discriminatory)を宣言することを求める。

その他に、審査指針の目的を「自由かつ公正な競争の促進」に変更し、競争制限性の判断と直接関連のない一部の規定を整備する。
※知財権審査指針が毀損の不公正取引中心の判断から、市場支配的地位の濫用及び不当な共同行為中心の判断に転換されたこと(去年の指針改正事項)等を反映。

2.主な改正内容

(1)「標準技術」、「標準必須特許」の定義改正及び「事実上標準特許」の規制補完

標準技術の定義を標準化機構等が選定した標準に限定。
標準必須特許の定義も標準技術に採択されたため、特許保有者にFRAND確約が要求される特許に規定。

事実上標準特許(de facto SEP)に対しては、一般的な特許権の不当な行使と同一な基準で違法性を判断。
事実上標準特許に対し、標準特許と同一な判断基準を適用する関連条項は整備・削除する。

(2)「目的規定」及び「実施許諾時不当な条件賦課」条項の一部改正

審査指針の目的が自由かつ公正な競争の促進にあることを明示する。

特許(非標準特許)ライセンス条件に関する紛争の際、仲裁機関・規則等を規律する条項は競争制限効果と直接関連がないため削除する。
※審査指針が市場支配的地位の濫用行為や不当共同行為に対する違法性判断基準を提示するための趣旨から改正(2014年12月)されたことを反映。

(3)「 不当な実施許諾の拒絶」規定の補完

一般的な特許保有者が実施許諾を拒絶する行為の不当性の判断基準をより具体的かつ明確に規定する。
実施許諾拒絶の意図や目的、当該特許技術の代替可能性、市場競争に欠かせない要素であるかどうか等を考慮して不当性を判断。

3.期待効果

標準技術及び標準必須特許の定義規定を補完することで、知財権濫用行為に対する法執行の予測可能性が高まるものと期待される。

行政予告期間の間、関係省庁、関連専門家、利害関係者等の意見を聴取して総合的に検討・反映し、公取委全員会議議決を経て最終確定する予定。

審査指針改正(案)新・旧条文対比表は以下でご確認ください。
151221.pdfPDFファイル

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