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知的財産ニュース 「第15回韓国IPGセミナー」(特許庁委託事業)を開催しました。

2015年11月25日

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韓国IPGは、去る10月28日、ソウルジャパンクラブ内会議室において、第15回韓国IPGセミナーを開催しました。今回のIPGセミナーでは、日本企業で知的財産に関する業務をご担当されているお二方を講師としてお招きし、セッション1でキヤノン株式会社知的財産法務本部の中澤俊彦顧問から「キヤノンのグローバル知財戦略とアジアにおける知的財産上の課題」について、セッション2で出光興産株式会社の田中雅人部長から「アジアにおける素材分野の知的財産問題と対応」について、それぞれご講義いただきました。今回のセミナーには、60名以上の方にご参加いただき、活発な質疑応答も行われました。以下に概要をご報告します。

セッション1

キヤノンは、2014年12月基準全世界で3兆7千億円の売り上げを達成するほど、活発なビジネスを展開しており、研究開発もワールドワイドで行われております。このグローバルな知財の管理は、本社の知財本部が国内外のグループ会社の知財を集中管理し、グループにおける知財権についての取扱を定めた「グローバルマネジメントルール」も設けています。キヤノンは、1930年代初期、ライカを越えるカメラを作ろうとする有志から始まりました。創業当初から実用新案の出願や商標登録など知的財産を重視してきました。また、戦後、「発明」と「工業デザイン」を会社の重点施策とし、1950年には初のUS特許出願も行いました。キヤノンは、カメラに依存した事業構造から脱皮するために、1960年代、Xeroxが独占していた複写機市場に挑戦し、独自技術を開発しました。自社技術・製品保護から事業戦略の武器へと知財の位置づけが変化したのもこの時期からです。キヤノンは、電子写真の像形成のコア技術は非許諾とすることで差別化を図り、デジタル化・通信対応など周辺技術は、許諾しつつもより多くの知財権を保有することで優位性を確保する技術・戦略を取り組んでいます。また、応用技術から新たな技術を創出する作業も続けています。キヤノンの知財に関する基本方針は、(1)「知財活動は事業展開を支援する重要な活動である」、(2)「R&Dの成果は製品と知財権である」、(3)「他社の知財権を尊重し、適切に対応する」といった3つです。この方針に基づいて様々な活動を行っています。

知財分野は、過去と比べて、急激に環境が変化しました。例えば、標準必須特許の増大、業界を越えた新競合の出現、コモデティ化の進行、パテントトロールの跋扈、新興国の台頭、特許の技術的価値の希釈化があげられます。このような状況の中で、自社のビジネスの保護、競争力の維持・向上、新規事業進出をどうやって行うか等について、知財としては何をするかが問題となります。キヤノンの場合、競合会社に対しては、コア技術を秘匿または非許諾として参入障壁を形成する一方、相手の特許競争力に応じて有・無償クロスライセンスを結び技術を公開するなど、開発の自由度を確保しつつ、知財力の優位性、有利な契約条件を維持します。また、侵害者に対しては警告・訴訟で阻止し、パテントトロールに対しては、徹底抗戦するとともに、特許を売却する際、そのライセンスを他の全ての会員に対し許諾するLOTネットワークといった対策で対応しています。

アジア地域など新興国市場が益々重要になる中、アジア地域でシェアを取れる技術を守るためには、ビジネスの核となる特許はライセンスしないこと、また、コア技術のうち、検証困難な発明はノウハウとして管理することが重要です。また、自社の重要な技術を守る為には新興国を含め第三者の特許は絶対使わないように注意することが非常に重要です。なお、侵害者には厳しく対応し、知財権尊重の認識を作っておく必要もあります。模倣品問題については、韓国の場合、有効な在韓事務所との協力、行政機関とのパイプ作り、本社-業界-関係機関との情報共有を通じて対応していくのが効果的です。

セッション2

出光は、1911年創業以来、エネルギー確保と有効利用並びに高機能材のグローバル展開を通じて、経済と環境の調和ある社会の発展に貢献することを目標に、世界全域で事業展開しています。この目標を効率的に達成するために、中期経営計画を立てており、2015年には、第4次計画が進行されています。この第4次計画で考えている知財活動のサイクルは(1)事業構想⇒(2)競争力設計⇒(3)知財・技術確保⇒(4)事業実施といった4つの段階が繰り替えられる形となります。

情報収取・発信のために、知財担当職員を現地に置くのが望ましいですが、事業規模、業態、リソースの問題で、現地に知財専門の駐在員、スタッフを配置することは、現時点では叶っていない状況です。そのため、現地のJETROやIPGなどを活用して法制度・運用情報を収集し、現地当局、特許事務所との連携、特許庁との直接会話による権利化・維持活動を強化しています。

権利化と活用のためには、日本と現地の法制度・運用の違いを理解する必要があります。韓国特許法の条文は日本と類似し、制度も同様と思いがちですが、実際には数値限定発明、選択発明などにおける判断の「わずかな違い」によって、権利化できないことになりかねません。また、韓国は特許の無効率が非常に高く、無効審判で約65%が無効になり、審決取消訴訟まで行くと、約9割が無効になってしまいます。そのため、グローバルな特許網構築で、材料の採用を後押しする必要があります。韓国で無効になった場合も、他国特許が維持されていることを根拠に採用交渉に臨むことができます。

出光は、模倣・侵害を未然に防止するために、第一に、「他社特許の尊重」を徹底し、特許鑑定能力を高め、他社から攻撃を受けない状態にします。第二に、業界に「知的財産権の尊重」を広め、顧客や競合会社を通じ確約します。第三に、他社にも「知財品質」を求めます。

渉外活動において、重要な問題としては、まず、営業秘密漏えいが挙げられます。最近、韓国では秘密管理性が「相当な努力」から「合理的な努力」に要件が緩和されました。しかし、要件が緩和されたものの、漏えいを防ぐには従業員への秘密情報へのアクセス制限・秘密保持義務を徹底しなければなりません。

化学材料のB2B事業における模倣品問題も顕在化しています。特に中国では、商標の冒認出願が頻発しており、韓国、中国などでは、インターネットで模倣品が多く流通されています。出光は、自社製品に係る知財権を確実に取得した上、その所在を新聞・雑誌などで告示することで、模倣を予防しています。また、海外現地法人とのコミュニケーション強化・教育を通じて、模倣を早期に把握し、その実体に応じて効果的に対応しています。また、海外事業所の職員の知財に関する認識向上も重要です。出光は、海外店(海外店長・総括部署)などに対し、当該国に特有な模倣実態とその対策手段を説明するなど教育研修を行い、社員の模倣対策への認識を向上させ、実務に反映しています。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
担当者:浜岸、曺(チョウ)、柳(ユ)
E-mail:kos-jetroipr@jetro.go.jp
Tel :+82-2-3210-0195

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