知的財産ニュース 天日塩の製造に関わる特許出願が増加傾向

2015年9月17日
出所: 韓国特許庁

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塩は、食品の生産・貯蔵・調理等に欠かせない成分である。特に海水から得られる天日塩は一般の塩に比べ希少性がある上、健康意識の向上に伴い潜在的価値が高いとされており、この分野の技術開発及び特許出願が着実に伸びている。

※天日塩:海水を塩田に導き、太陽熱と風力で蒸発させて採った塩。

特許庁によると、2000年から2015年までの塩製造分野の特許出願件数は計246件だが、そのうち、2000年代初め頃(2000~2002年)には22件に過ぎなかったのが最近(2012年~2014年)は85件へと4倍増加した。

※特許出願件数: 22件(00年~02年)→23件(03~05年) →48件(06~08年) →68件(09~11年)→85件(12~14年)

これまで天日塩は高い潜在力にもかかわらず、鉱物に扱われたため開発が進んでいなかったが、2008年の塩管理法の改正により食品として認められるようになり、出願が急増し始めた。さらに、2011年頃から塩産業育成対策が強化され、塩田製造及び生産施設の出願が増加している。

これまでの天日塩の造り方では、海水を貯水池に導いて閉じ込めた後、水路を通じて蒸発地に送り込み、太陽と風で蒸発させることで段階的に塩度を上げる。その濃縮された塩水を雨が降るときに臨時に塩水倉庫に貯蔵した後、結晶地に送って塩を結晶化・収集するという伝統的方法で造られてきた。しかし、最近の特許出願動向をみると、このような塩製造技術に次第に変化している。

この3年間(2012年~2014年)の特許出願割合を技術分野別に見ると、(1)塩の原料となる海水の濃縮等の加工分野4.7%、(2)塩田設備及び製塩法分野23.5%、(3)塩の精製等後処理分野10.6%、(4)結晶化した塩の収集・積込・運搬分野30.6%(最多)、(5)塩田床面の素材分野20.0%、(6)塩田代替装置分野10.6%となる。

その中で、2006年以降、塩の収集・積込・運搬及び塩田床面素材分野の出願が本格化し、この3年間の出願割合は全体の51%に達しているが、これは、塩製造に必要な面積と労働力の限界を越えようと塩田施設を機械化・自動化したり、床面素材を補完して異物質を除去する等、生産効率を最大化することで品質を上げると同時に皮膚にも使える機能性塩等、多様な商品開発を図っているためだと分析されている。

また、2013年以降、創造経済政策の推進により、全国の天日塩生産量の87%である27万トンを生産する全羅南道地域でスマート塩田事業が進められている。人口の減少に伴う労働力需給問題の解決はもとより、生産効率の向上を目指したものだ。これに情報通信技術(ICT)を組み込んだ製造生産施設の自動化関連特許が新たに登場している。主な内容としては、塩田の特殊性に合わせ遠隔で水門を開閉できるシステム、夜間や雨の時にも環境情報を収集・分析・制御できる端末機(パソコン又は携帯電話)統合管理システム等がある。このような特許技術を活用したスマート塩田モデル事業が成功して従来の塩田に適用されると、天日塩の生産量は10%上昇、人件費は34%削減できるという。

特許庁の関係者は「これまでは、塩を作るために作業員が塩田に常駐しながら厳しい作業をしなければならなかったが、今後塩田製造設備を自動化する等、関連特許技術を積極的に活用すれば労働力が削減できる上、より容易に高品質の塩が製造できるようになるので、世界市場における競争力が一層上がると思う」と述べた。

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