知的財産ニュース 中国で韓国フランチャイズの商標盗用が増加

2015年8月25日
出所: デジタルタイムズ

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最近、韓流ブームを追い風に人気を集めている韓国の外食産業が中国内の無断商標出願で悩まされている。

今月23日に放送されたMBC「時事マガジン2580」では、韓国の有名フランチャイズブランド商標の無断盗用の実態について報道した。


韓国MBC「時事マガジン」の放送画面

同番組では、韓国風デザートカフェ「雪氷(ソルビン)」を始め、オーブン焼きのチキン専門店「サンキュママチキン」、蜂巣アリスクリーム専門店「ソフツリー」等の盗用事例が紹介された。

これらのブランドはいずれも中国で店舗を展開しており、大人気を集めている。しかし、中国で運営されている店舗は、韓国本社と正式契約を結ばず、メニューから看板、インテリア、ユニフォームまで韓国ブランドをそのままコピーした偽の店舗だ。

このような偽の店舗が中国で韓国の有名フランチャイズの看板文句やブランド名を巧みに変えた後、オリジナルブランドと見せかけ現地の加盟店募集まですることができる理由は、中国商標法では、海外有名ブランドの商標権利を認めず、中国内商標先出願を優先視するからだ。

韓国内で約180店舗を展開している「サンキュママチキン」は、去年4月末、韓国仲介人の紹介で中国法人とマスターフランチャイズ商談を進める過程で、ブランドを盗用された。

中国商標法上の先出願優先制度を悪用した中国法人が「サンキュママチキン」の韓国本社と商談を行った後、中国に帰ってすぐ「サンキュママチキン(Thank u mom)」という商標を出願したのである。

その後中国業者は、杭州等の地域に、「サンキュママチキン」のブランド名やメニュー、包装パッケージ、施設設備等をそのままコピーした偽の店舗を次々とオープンすると同時に、韓国本社から正式にノウハウの提供を受けたかのように広告を展開し、加盟店を募集している。

これと関連し、「サンキュママチキン」のパク・デソン本部長は「油に揚げたフライドチキン一色の中国チキン市場において、オーブン焼きチキンやピザ、トッポキ等、多様なメニューを販売するチキンカフェコンセプトのサンキュママチキンが、現地の住民に大人気を集めていると聞いた。まだ、韓国のオリジナルブランドが中国に進出もしていないのに、偽の店舗を訪問した人や中国内サンキュママチキンブランドの人気を実感した人から、開業に関する問い合わせが韓国本社に多く寄せられている」と、中国内の偽ブランドの人気について説明した。

パク本部長は続いて「オーブンで焼いたが、油で揚げたフライドチキン以上にサクサクの食感を売りにしているサンキュママチキンの味の秘訣は、新米で作られた天然穀物粉にある。看板やインテリアを真似することはできるかもしれないが、本物の味とクォリティーは真似できないと思う」とし、「中国の偽ブランドは、韓国本社と正式の契約を結んで本場からノウハウを学んだかのように虚為広告を展開して中国現地の支社及び加盟店を募集しており、韓国のオリジナルブランドの信頼と競争力を回復させるため、法的対応を準備している」と話した。

この他にも、パリバゲットを巧妙に変えた「パリピリング」や「トゥルドゥルチキン」を模倣した「ツーツーチキン」等、中国の模倣ブランドによる韓国ブランドの被害が大きくなる一方だ。

一方、同番組では、中国の商標権侵害紛争で商標権を守った「キョチョンチキン」の事例の他に、「中国で商標を不当に先取り又は盗用された際、適切な対応し被害救済等の法的保護が受けられるには、商標権の先登録が求められる」と指摘した専門家のインタビューも紹介された。

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