知的財産ニュース 「知的財産基盤の創造経済実現戦略」の成果事例ー後編

2014年7月1日
出所: 韓国特許庁

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4.IPスター企業育成の支援事例

一般審査(現行)と一括審査(改善)制度の比較

会社名

(株)イナトロン

代表者

チョウ・ハクレ

売上高

228ウォン(2013年)

常時勤労者数

60名

企業概要

移動通信用RF&Microwave部品など

支援背景

  • (株)イナトロン(2002年設立)は、基地局装備部品の国産化に成功し、単価を下げることにより日本市場参入へ成功
  • 輸出額が売上高の80~90%を占めるグローバルヒドゥンチャピオンや海外知財権紛争の対応が不十分であり、中国の模倣会社の追撃に備える必要がある。

支援内容

  • 4G、5G 移動通信技術において爆発的な増加が予想される、小形基地局に使用されるセラミックフィルターの代替であるLTCC Duplexer及びMultiplexer 開発のため、既存の特許分析及び回避設計の先行技術調査とオーダーメイド型特許マップを支援し、特許ポートフォリオ構築のための国内外特許出願を支援
  • 米国で販売中である小形中継器のブランド認知度上昇のため、ブランドリニューアルを支援

支援成果

売上高増加:8.6%増加

(支援前)210億ウォン→(支援後)228億ウォン(8.6%増加)

  • 先行技術調査及びオーダーメイド型特許マップを通して後発走者である中国会社が持つ技術力を把握し、主要出願人TOP3以外の海外出願人が保有した類似特許を多数発見し、これを通して強い特許ポートフォリオを構築
  • ブランドリニューアル後、米国に商標出願を行い、製品外部のデザインも改善するなど今後の売上高の伸びが予想

会社名

(株)ウンファ

代表者

ジン・ヨンウ

売上高

105ウォン(2013年)

常時勤労者数

135名

企業概要

植物幹細胞原料、食品、化粧品

支援背景

新生ベンチャー企業(2005年設立)であり、知的財産ポートフォリオ構築のための費用充当に困難

支援内容

  • 2011年IPスター企業選定を契機に、特許、商標など海外出願費用の支援、オーダーメイド型特許マップ、コンサルティングの支援
  • 消費者用製品、企業用中間原料、技術ライセンシングなど(株)ウンファの技術を活用した知的財産基盤のビジネスモデルの確立を支援
  • 全羅北道知的財産センターで他人による(株)ウンファの特許技術を侵害したことに対するコンサルティングを支援

支援成果

  • 2013年多国籍流通販売Aグループと数年間にわたり5,000億ウォン規模の原料供給契約締結に成功
  • 2011年(株)ウンファの技術が侵害を受けた時に2012年登録特許を根拠に侵害を中断させ補償金を受けた。

会社名

(株)ジェイブイエム

代表者

金・ジュンホ、李・ヨンヒ

売上高

779ウォン(2013年)

常時勤労者数

310名

主要製品

病院薬局・調剤薬局に係る自動化システム
※1978年に薬の手動包装機製造会社からスタートし、1996年に国内最初に自動薬品包装機を生産販売

支援背景

2004年以降から知的財産経営を導入しているが、体系的な知的財産経営は不足

支援内容

2010年にデグ知的財産センターを通してIPスター企業に選定され、体系的な知的財産コンサルティング支援

支援成果

  • (市場シェア)2012年基準で国内市場の88%、ヨーロッパ市場の75%、北アメリカ市場の71%
  • (売上高)2010年565億ウォン→2013年816億ウォン

5.IP-DESK支援事業

会社名

A社

代表者

売上高

中小企業

常時勤労者数

支援背景

  • 中小企業A社は1995年から米国Z Tech社と技術交流を行い、製品を納品したが、米国会社Z Tech社は2011年契約終結以降及び契約期間中にもA社の承認なしに商標と特許を使用したことを発見して侵害訴訟を提起
  • Z Tech社が米国裁判所に訴訟を提起した直後にA社はLA IPDESKに支援を要請

支援内容

  • LAのIPDESKは受け付けられた告訴状を検討した後、韓国語で告訴状の内容を要約して韓国企業に伝達し、米国から韓国への外国適法送達及び事後裁判の結果、韓国における執行に対し米国法、韓国法、国際条約などを調査して、今後進行される過程について説明をはじめ、初期対応のガイドラインを提示
  • 以降、訴訟と関連する契約書及び各種文書を検討して状況把握及び合意戦略を論議するなど、米国企業との合意を導出するために持続的に支援

支援成果

  • Z Tech社は訴訟を取り下げ、LA IPDESKの仲介により2~3回の修正を経て精算協定書(Settlement Agreement)に最終署名
  • 3年平均90万ドルを米国に輸出していたA社は危機から脱し、数億ウォンに上る法律費用も節減できた。

6.国際知財権紛争予防コンサルティング

会社名

B社

代表者

売上高

約200億ウォン(2013年)

常時勤労者数

約50名

支援背景

  • マート用カートを生産販売するB社は、プラスティックカートを開発し海外輸出を進めるためにドイツEURO Shop展示会に参加したが、海外競合会社の仮処分申請、税関押収などの妨害により2008年及び2011年に製品を展示することができないまたはブース全体が撤去されるなどの被害を受けた。

支援内容

  • コンサルティングを通じて主要競合会社の関連特許を調査して侵害可否を分析し、問題の特許については無効資料及び回避設計策を準備して提示
  • ―該当分析結果を基に防御書面(Protective brief)を作成して税関、裁判所などに提出

支援成果

  • 防御書面を事前に提出することにより、ドイツの競合会社の押収及び仮処分申請が受け入れられなかった。
  • B社は2014年ドイツのEURO Shop展示会に参加して営業活動を行い、ヨーロッパ進出の基盤を整えた。

7.企業戦略オーダーメイド型一括審査サービスの事例

推進背景

企業経営戦略により知的財産権ポートフォリオの構築及び管理が容易になるよう製品単位の一括審査が必要
(企業が望む時点で多数の出願を一括審査)
※2013年大統領主宰の貿易投資振興会にて「2段階投資活性化対策」を推進課題として指定

支援内容

2013年12月、特許対象に一括審査制度を導入した後、2014年4月から商標、デザインも一括審査対象として拡大
※スリムTV、スマートフォン、自動車用二次電池などの融合・複合新製品に対する一括審査申請及び進行中

申請者

申請対象

審査状況

LG化学

薄型TV用ディスプレー装置、パッケージングフィルム等特許17件

2014.4.28. 一括着手

LG電子

スマートフォン用タッチセンサー等特許2件

2014.5.30. 一括着手

SKイノベーション

自動車用二次電池及び電池ケース等特許6件

2014.6.02. 一括着手

ホンジョンホ

オーブン調理器、オーブン調理器鍋など特許3件

2014.6.05. 一括着手

LG化学

スマートウォッチ用の曲がるバッテリー等と特許11件

一括審査予定

企業反応

  • 企業と審査官が一括審査説明会を通じて相互コミュニケーションと協力することによって適時に適切な知財権獲得が可能となり企業に役立つものと期待
  • 製品が最適な市場規模となる前に融合複合製品の知財権を事前に一括確保することで競争企業などに対応可能

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

ジェトロ・ソウル事務所 知的財産チームは、韓国の知的財産に関する各種研究、情報の収集・分析・提供、関係者に対する助言や相談、広報啓発活動、取り締まりの支援などを行っています。各種問い合わせ、相談、訪問をご希望の方はご連絡ください。
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