知的財産ニュース 公募に応募した作品の権利は応募者にある

2014年8月8日
出所: 公正取引委員会

4703

公正取引委員会(以下、公正委)は、15カ所の公共機関-民間企業※※の計31のアイデア公募約款の約款法違反の有無を点検し、知的財産権の帰属‐使用に関する不公正約款の条項を是正した。

※韓国道路公社、韓国住宅金融公社、韓国国際協力団、韓国農水産食品流通公社、韓国原子力環境公団、韓国電子通信研究院、韓国電力公社、韓国航空公社、ソウル五輪記念国民体育振興公団、韓国土地住宅公社、韓国馬事会
※※現代自動車、サムスン電子、LG電子、ロッテショッピング

1.是正の背景

公募を主宰する事業者が応募者のアイデアを不当に奪取・流用するなど、知的財産権に関する被害例が多数発生している。
公募における応募者のアイデア奪取のような不公正行為は創造経済の具現に障害として作用する恐れがある。

アイデアの権利保護が不十分である場合、「アイデア発掘→新市場の形成→雇用創出」につながる創造経済の好循環構造は作動しない。
⇒主な公共機関および民間企業が主催するアイデア公募の約款の実態調査を実施し、応募者の知的財産権の保護に向けて改善が求められる約款を是正した。

2.主な是正内容

(1)応募作品に関する知的財産権の帰属条項

(是正前)応募作品(または授賞作品)に関する全ての権利は、主宰機関に帰属されることにする。

(是正後)応募作品(または授賞作品)に関する全ての権利は、応募者(または受賞者)に帰属することに改める。

不公正事由

  • 公募を主宰する事業者が応募作品の知的財産権を対価無しで譲り受けるという内容なため、応募者に不当である。
  • 授賞作品に与えられる賞金賞品などの特典※も原則的には授賞作品に対して予め定められた対価として認めるのは困難
    ※授賞の特典は基本的に事業者が公募に対する高い関心と参加を呼びかけるために支給する「褒賞金」または「報奨金」に近いと判断される。

(2)授賞作品に関する任意使用の条項

(是正前)授賞作品は主宰機関で無制限に使用できるものとする。

(是正後)授賞作品は受賞者と別途の約定を締結した後に使用できることにする。

不公正事由

  • 授賞作品を使用するためには、受賞者から知的財産権を譲り受けてもらうか、使用許諾を受ける必要がある。
  • 公募を主宰する事業者が授賞作を使用範囲の制限無しに無償で使えるという内容なため、受賞者に不当である。
    対価を支払わないとしても、授賞作の使用範囲が具体的に定められており、使用範囲が公募の開催目的や一般的な取引慣行などを踏まえて適切(例:公募のPR、授賞作の展示など)であれば、不公正ではない。

3.期待効果および計画

今回の措置により、応募者の権利が保障されるほか、知的財産権による正当な補償が行われる取引慣行が拡散されるきっかけになると期待している。

公正委は今後、知的財産権分野の不公正約款の是正などを通じて、不公正取引慣行の改善および創造経済の基盤作りに向けた役割を果たしていく予定である。

ジェトロ・ソウル事務所知的財産チーム

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